研究課題/領域番号 |
21K18565
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
山田 憲政 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (00210469)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | フィッツの法則 / 運動制御 / 速さと正確さのトレードオフ / 動きの制御 / 情報理論 / エントロピー / 主成分分析 / 失敗できない環境 |
研究開始時の研究の概要 |
人間の動きの普遍的な法則の一つにフィッツの法則がある。これは、対象に移動するのに必要な時間が対象までの距離と対象の大きさの関数で表されることを示したもので、現在では、コンピューターのユーザーインターフェースを設計する際にも採択されている人間の行動を表す基本的な法則である。ところがフィッツの法則は、ほとんど知られていないが若干のミスが許容される環境下で導かれた人間の行動法則である。しかし人間は、宇宙での作業、手術における医師の手の動きに代表されるように、生死に関わる失敗できない状況に置かれることがある。本研究は、失敗できない状況でこの式が成り立つのかを検討する初めての研究である。
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研究成果の概要 |
フィッツの法則は、速さと正確さのトレードオフを規定する人間の動きに関する普遍的な法則である。本研究では、失敗が許されない状況での法則の適用性を探るため、エントロピー分析による軌道の情報処理という新たな方法を考案し、タッピング実験において通常試技と失敗が許されない試技を比較してペン先の動きとエントロピーを計算した。失敗が許されない試技では、動作時間が延長され、速度を犠牲にして精度を保つ局面が確認された。これを垂直跳び実験で検証し精度要求時の力の調整局面を確認した。これにより、フィッツの法則が失敗が許されない状況においても、局面ごとの情報処理と心理的な制限を考慮することで有効であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究におけるフィッツの法則の検証は、学術的にも社会的にも重要な意義を持つ。学術的には、失敗が許されない状況での人間の動作制御のメカニズムを明らかにし、エントロピー分析を用いた情報処理の評価方法を提案している。これにより、人間工学や認知科学の分野において、より精度の高い予測モデルや設計指針が提供される可能性がある。社会的には、この研究成果は産業界においても応用されることが期待される。特に、高リスク作業を伴う職場での作業効率の向上や安全性の確保に役立つため、人間中心の安全対策の強化に寄与する。これらの点から、本研究は理論的枠組みの拡張だけでなく、実用的な応用においてもその価値が認められる。
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