研究課題/領域番号 |
21K18572
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
番 浩志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (00467391)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 眼球運動 / 視覚心理学 / VR / 立体視 / 3D / 両眼視差 / サッケード / 注意 / 心理学 / バーチャルリアリティ / 知覚 / 視覚 / 認知 / 心理学実験 / 視知覚 / データベース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自然視環境(3D自然風景写真の観察、あるいはバーチャルリアリティ(VR)映像の観察)下における、3D空間上でのヒトの眼球運動の特性(移動量、速度、停留頻度、停留部位、輻輳角の変化など)を計測し、3D空間上でヒトの眼球および注意がどのように遷移するのか、その特性を解明するための礎となる大規模なデータベースを構築することを第1の目的とする。また、そのデータベースを利用して安全かつ安定な映像情報呈示技術の開発のガイドラインとなるような知見を提供することを第2の目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までに作成した3D空間における眼球運動の特性を記録したデータベースの拡充を行った。具体的には、昨年度までに、VRヘッドマウントディスプレイ上に5秒間呈示した3D自然風景画像1600枚、同じ風景の2D画像1600枚のそれぞれに対する33名の協力者の眼球運動をデータベース化していたが、このデータベースの協力者数を40名まで拡充した(一部は計測継続中)。さらに、追加で長時間の計測に協力していただけると口頭および書面で同意を得た協力者に対して、合計約12000枚の3D自然風景画像それぞれを5秒間観察した際の眼球運動データを取得した(5名)。また、これらのデータを可視化して比較検討(例えば、2D画像と3D画像とで人の視線の動きや停留特性は変化するのだろうか)するための解析スクリプトを整えた。並行して、これらのデータベースを公開するためのWEBページのドラフトを作成した。これらのデータベースをもとに3D空間における眼球運動特性を調べた結果、同じ風景画像に対して、その風景が3Dで呈示された場合には、観察者の注視部位をより遠方に引き込まれる現象を発見した。これはすなわち、同じ風景や画像であっても、それがVRなどのサイバー空間上に3Dで提示された場合には、手前の部分に注意が集まりにくくなることを意味する。今後は、こうした2D空間と3D空間における眼球運動の特性の違いを機械学習手法などで分類し、眼球運動のみから観察者が見ている風景の立体感や臨場感を同定する技術を開発したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、大量の3Dおよび2Dの自然風景画像に対する眼球運動を計測するため、協力者には何度も実験に参加していただく必要がある。ここで、実験を進めるにあたり、協力者の参加への意思を何よりも尊重し、また、倫理的な観点からも協力者の飽きや疲れに応じて計測を途中で中止することもあった(事故や危険なことは一切起きていない)ため、その後の解析に耐えうるデータを揃えるためには想定以上の時間を要した。そのため、研究期間を1年延長し、引き続きデータの取得と公開のための作業を継続することとした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は本年度で終了予定であったが、2Dおよび3D自然風景画像に対する眼球運動データをデータベースとしてまとめ、その成果の公開と論文化のため、研究期間を1年延長し、来年度も継続して本プロジェクトを実施することとした。また、最終年度は当初の目的であるデータベース構築に加えて、本データセットを用いた3D空間における眼球運動特性を調べる追加の研究を実施する予定である。特に、眼球運動の特徴をうまく捉え、3D空間のどの場所にどのように情報を呈示すれば気づきやすいのか、人の3D空間における注意の特性に迫る研究を遂行したい。
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