研究課題/領域番号 |
21K18574
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分10:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 (2023) 東京大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
谷部 好子 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員 (30582829)
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研究分担者 |
山田 幸恵 東海大学, 文化社会学部, 教授 (30399480)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | カタストロフ / 東日本大震災 / 時間的展望 / 想起 / 発達 / スフィア・テスト / ジンバルド時間志向テスト / サークル・テスト / 運命論 / レジリエンス / 時間知覚 / 時間割引 / 時間 / 天変地異 / 心理物理 / メンタルヘルス |
研究開始時の研究の概要 |
災害や疫病により時間的規則性が社会から失われ、昨日生じなかったことばかり今日生じ、今日生じたことが明日生じないような不確定性の高い環境にさらされたとき、子どもがどのように過去・現在・未来というまとまりのある認知的枠組みを獲得するか?本課題では東日本大震災を経験した若年者において聞き取り(子供時代のごっこ遊びについてなど)と時間認知課題(遅延割引率課題やサークル課題、それらと並行した眼球運動測定など)を行い、幼くして経験したために言語化しづらい天変地異の精神への影響・こころの適応を観察する。
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研究実績の概要 |
本研究はインタビュー調査で質的データを、心理実験で量的データを得、両者を組み合わせることで時間的枠組みの発達における幼少期の経験の影響を明らかにする。2022年度にインタビューをした東日本大震災経験群3名のデータについて、逐語録の作成と質的な分析を行った。まず、各個人のインタビュー内容について丁寧に読み込んだ上で、事象事に取り出す作業を行った。また、語りの主題ごとに切片可した。さらに、震災からの回復の過程というテーマに鑑みて、それに対応した切片化をする、という作業を行った。その上で、時系列にデータを並べていった。個々人の体験した出来事を時系列に並べ、個々人の変遷を追っていった。このように、個々人の震災以降の体験、ライフイベントなどを通して、震災への考え方や人生の捉え方などの変遷を捉えることを行った。なお、33rd International Congress of Psychology (2024年7月、プラハ)での発表(題目:Posttraumatic Growth and Time Perception of Childhood Disaster Experience: A Case Study)が採択されている。 心理実験については、震災経験群と非経験群における「過去・現在・未来」の連続性の違いの指標の候補を絞り、ワークショップ「Cyber-physical Technologies for Affective Wellbeing」(奈良)にて議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度、研究代表者の急な所属先変更に伴い、新たなデータを取得するのが困難であった。しかしながら前年度までに取得したデータの解析を進める・東日本大震災被災地域の大学等に所属する方の協力を求め人脈を開拓する・記憶と青少年の発達に関する心理学系の研究者と意見交換する・オンラインでの調査を実施するためのノウハウを蓄積する等、2024年度に向けた準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度より研究代表者が新規の実験を実施することが可能になった。7月までに倫理委員会承認を得、11月までの間データの収集(現地・オンライン)を実施する。インタビューについては対象者を増やし、対象者に共通する事象を探索していくことで、震災を体験した方の回復の過程についてモデルを生成することを目的としている。心理実験については「過去・現在・未来」の連続性の定量化に用いることができる指標を特定するため、震災等天変地異を体験していない群を含むオンライン心理実験を行うと同時に、東日本大震災経験群の対象者を増やす。最終的には、震災を体験した群における「過去・現在・未来」の定量的指標と、インタビューから生成された定性的なモデルとの関連を検証する。研究の成果を1月までに論文にまとめ投稿する。
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