• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

離散可積分系とディオファントス問題

研究課題

研究課題/領域番号 21K18577
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
研究機関京都大学

研究代表者

伊藤 哲史  京都大学, 理学研究科, 准教授 (10456840)

研究分担者 谷口 隆  神戸大学, 理学研究科, 教授 (60422391)
内田 幸寛  東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (90533258)
大下 達也  群馬大学, 共同教育学部, 准教授 (70712420)
石塚 裕大  九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (50761136)
研究期間 (年度) 2021-07-09 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードディオファントス問題 / アーベル多様体 / 離散可積分系
研究開始時の研究の概要

離散可積分系は、状態遷移が離散的な系であり単純な規則から興味深い現象が導かれることが知られている。ディオファントス問題とは、代数方程式の解や代数多様体の有理点を研究する分野であり、これまでに深い結果が証明されている一方で、多くの基本的問題が未解決である。この研究では、これまでは別々に研究されてきた離散可積分系とディオファントス問題を結びつけることで、新しい構造の発見に挑戦する。有限体や有理数体などの数論的な体上で離散可積分系と代数多様体を結びつけて、ディオファントス問題に応用する。また、ディオファントス問題に関する数論の知見を応用することで、離散可積分系の性質の解明にも挑戦する。

研究実績の概要

本研究課題では、状態遷移が離散的な系である離散可積分系を代数多様体の有理点と結びつけることでディオファントス問題に応用する。また、ディオファントス問題に関する数論の知見を応用して離散可積分系の性質の解明に挑戦する。従来は別々の研究対象として考えられていた離散可積分系とディオファントス問題を、一つの数学的対象・現象の異なる側面としてとらえて研究を進めてきた。
前年度までの研究に引き続き、ソモス型の数列と超楕円曲線の等分多項式の関係について研究を行った。計算機実験と理論的研究の双方からのアプローチで研究を行った。得られた成果を論文にまとめ、現在投稿中である。
可積分系の解の研究において、佐藤グラスマン多様体と呼ばれる無限次元多様体と代数曲線のヤコビ多様体の関係が重要な役割を果たすことが知られているが、佐藤グラスマン多様体の整数論的性質についてはまだまだ分かっていないことも多い。そこで、佐藤グラスマン多様体の幾何学と離散可積分系や等分多項式の関係について研究を行った。佐藤グラスマン多様体は無限個の定義方程式を持つため、その構造は複雑であり、佐藤グラスマン多様体の幾何学的性質と整数論的性質の関係については分かっていないことが多い。今後も継続して研究を行う予定である。
さらに、より一般のパラメータを持つソモス型数列についての研究も行った。パラメータが一般の場合に知られていることはほとんど無いため、数値実験を中心とした研究を行った。今後もさらに研究を継続する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、理論的・幾何学的な考察と、計算機による数値実験の双方を行うことで研究を進めてきた。本研究において、特別なパラメータを持つソモス型数列に対して、超楕円曲線の等分多項式と結びつけることで、数列の整数論的な性質を研究することができた。これらの研究をさらに進めて、本年度は、等分多項式のより詳細な研究を行い、佐藤グラスマン多様体の幾何学との関係を考察した。計算機による実験を活用することで、新しい現象を発見することができた。これらの結果は離散可積分系と代数幾何を結びつけて、整数論的に非自明な結論を得るという本研究課題の内容に沿ったものであり、おおむね当初の予定通りの結果が得られているといえる。
一方で、計算機による数値実験において、より一般のパラメータの場合には従来の理論では説明できない現象が発見された。離散可積分と等分多項式やソモス型数列の整数論的対象の関係については、理論的にはまだまだ未知の部分も多い。これらの現象の解明は今後の課題である。来年度以降も継続して研究を行う予定である。

今後の研究の推進方策

前年度までの研究成果をさらに発展させて、理論的・幾何的な考察と計算機による数値実験の双方を組み合わせることで研究を進める。代数曲線のヤコビ多様体上の有理点の公式と離散可積分系の関係を解明する必要がある。これまで得られている楕円曲線や種数の小さい超楕円曲線の場合の結果を土台として研究を進める。
前年度までの研究により、等分多項式の整数論的性質が重要であることが分かってきた。可積分系の解の研究においては、佐藤グラスマン多様体と呼ばれる無限次元多様体の幾何学が重要な役割を果たすため、佐藤グラスマン多様体の幾何学とヤコビ多様体の幾何学の関係の研究を行い、整数論的への応用を目指す。
ヤコビ多様体やベクトル束のモジュライ空間に関係するディオファントス問題については代数的力学系とも関係しており、密度定理等の興味深い現象が観察されている。本研究課題の対象である離散可積分系は、数論統計の観点からも興味深い研究対象であると考えられる。そこで本研究により得られた知見の数論統計への応用も模索する。
これらの研究課題については、理論的な背景がまだ解明されていない部分も大きいため、並行して計算機実験を行う。計算機実験の結果を理論的な研究にフィードバックして、背後にある未知の幾何学的構造の解明を進める。さらに、これらの研究を進めて、可積分とは限らない、より広いクラスの離散力学系の研究にも挑戦する。近年の研究において、クラスター代数よりも広いクラスにおいてローラン性が成り立つことが分かってきたが、ディオファントス問題との関係はほとんど分かっていない。そこで、ローラン性を持つ離散力学系の数論的性質の解明にも挑戦する。これらの研究成果をまとめて研究集会で発表する予定である。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Princeton University/University of South Carolina(米国)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] Asymptotic behavior of class groups and cyclotomic Iwasawa theory of elliptic curves2023

    • 著者名/発表者名
      Toshiro Hiranouchi, Tatsuya Ohshita
    • 雑誌名

      Journal de theorie des nombres de Bordeaux

      巻: 35 号: 2 ページ: 591-657

    • DOI

      10.5802/jtnb.1258

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Improved error estimates for the Davenpor-Heilbronn theorems2023

    • 著者名/発表者名
      Manjul Bhargava, Takashi Taniguchi, Frank Thorne
    • 雑誌名

      Mathematische Annalen

      巻: - 号: 4 ページ: 3471-3512

    • DOI

      10.1007/s00208-023-02684-w

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] The modularity of elliptic curves over all but finitely many totally real fields of degree 52022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Ishitsuka, Tetsushi Ito, Sho Yoshikawa
    • 雑誌名

      Res. number theory

      巻: 8 号: 4 ページ: 82-82

    • DOI

      10.1007/s40993-022-00383-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Uniform bounds for lattice point counting and partial sums of zeta functions2021

    • 著者名/発表者名
      Lowry-Duda David、Taniguchi Takashi、Thorne Frank
    • 雑誌名

      Mathematische Zeitschrift

      巻: 300 号: 3 ページ: 2571-2590

    • DOI

      10.1007/s00209-021-02862-z

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 判別式が概素数である既約な整数係数2元4次形式の同値類の個数について2024

    • 著者名/発表者名
      谷口隆
    • 学会等名
      京都大学数理解析研究所
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Periodicity of Somos sequences related to curves of genus 22023

    • 著者名/発表者名
      内田幸寛
    • 学会等名
      京都大学数論合同セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二元四次形式の指数和とその応用2023

    • 著者名/発表者名
      石塚裕大
    • 学会等名
      解析的整数論とその周辺
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 二元四次形式の指数和とその応用2023

    • 著者名/発表者名
      石塚裕大
    • 学会等名
      九州大学代数セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Periodicity of Somos sequences related to curves of genus 22023

    • 著者名/発表者名
      Yukihiro Uchida
    • 学会等名
      Number Theory in Tokyo
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演

URL: 

公開日: 2021-07-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi