研究課題/領域番号 |
21K18586
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
磯 祐介 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70203065)
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研究分担者 |
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00362583)
川越 大輔 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30848073)
今井 仁司 同志社大学, 理工学部, 教授 (80203298)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 数理モデル化 / 数値解析 / 安定性解析 / 反砂堆(antidune) / 数理モデルの数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本課題研究は文献研究と理論研究・数値シミュレーションを中心に推進する計画であり、反砂堆等の砂の流れに関する実証実験は計画していない。研究の第一段階では堆積学、河川工学等において異なった視点で特徴付けられている反砂堆の定義を検証し、数理モデル化の確立を図る。次の段階では得られた数理モデル(微分方程式)の安定性解析や数値計算法の確立等、数理科学的手法もよる研究を展開する。最終段階では、数理科学の防災研究への寄与も考慮に入れて、本課題研究で得られた数理モデルの解析結果と他分野の関連先行研究成果との比較検討を行なう。研究遂行に際しては、本課題研究の分担者のほか、内外の研究者の研究協力を計画している。
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研究実績の概要 |
反砂堆(antidune)現象は砂を主組成とする河床の現象で、河の流れの反対方向に砂が遡上して堆積する「移動境界」現象で河川のほか大陸棚等で観測される。水路実験では比較的短時間で発生して消滅する現象として認められるが、近年では河川氾濫と関連する現象として注目を受けている。しかし数理科学的観点からはこの現象の定義自体が確立されているとはいい難く、したがってその数理モデルも現象を特徴付ける仮定に依存して幾つかの異なる提案がなされている。本課題研究では、1963年に J. F. Kennedy が提唱した古典的な数理モデルを採用し、反砂堆現象の信頼できる数値シミュレーションを行い、また数理 モデルの解の安定性を数学解析によって明らかにすることを目的としている。
本課題研究の現状は Kenneddy の仮定を採用した渦無し完全流体の流れを前提に、反砂堆を河床(数理モデルにおいては流体現象を記述する偏微分方程式の境界)の動的挙動として捉えて実験式を踏まえた数理モデルを前提としたうえで、反砂堆が発生している場合の数値シミュレーションと安定性を論じることを目的としている。研究代表者およびその研究組織による先行研究によって Kennedy の提案する非線型の境界条件の役割についてのモード解析が行なわれている。初年度には Kennedy が導入したパラメータの役割について論じて成果をあげたが、2年度は初年度の研究を踏まえて非線型効果も考慮した問題の検討も行った。しかし、非線型効果を一般化することはできず、現時点では一定の仮定下での限定的な成果しか得られてはいない。
2年度には共同研究者である志岐常正京都大学名誉教授との討論を踏まえ、志岐名誉教授の提唱する freezing と反砂堆との関係を再吟味して論点整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にあった Kenneddy の数理モデルについての研究は順調に進み、この数理モデルの長所と短所については一定の知見を得るに至り、この点を考慮して概ね順調に研究は進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
Kenneddy の数理モデルとは異なる仮定で提案されている昨今の数理モデルの妥当性、特に解の安定性を主として数学解析の観点から論じ、反砂堆の数理解析の今後の研究の在り方を検討する。特に境界条件の設定についての考え方の相違がどのような効果をもたらせているのかの検討を開始する。
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