研究課題/領域番号 |
21K18587
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分12:解析学、応用数学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 距離空間 / 空間の分割 / フラクタル / グラフ近似 / ソボレフ空間 / 解析学 / 分割 / 重み |
研究開始時の研究の概要 |
フラクタルに代表される滑らかさのない空間は、自然界をモデル化する際にも重要な役割を果たすことが知られている。従って、自然界での物理現象を記述するためには、フラクタルのような複雑な空間上で、ユークリッド空間などの滑らかな空間での「微分方程式論」やそれに付随するソボレフ空間などの関数空間の理論に相当する数学が必要となる。本研究では、複雑な空間上に微分方程式論を展開するための基礎となるソボレフ空間論などの「解析学」を構築することを目指している。
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研究成果の概要 |
本研究では微分という概念が適用できない複雑な空間上で解析学を展開するための基礎としての(1, p)-Sobolev空間とp-energyの構成を、空間を離散的なグラフの列で近似し、そのグラフの上のp-energyのスケーリング極限を考えるという発想の元に行った。そして、適切なスケーリング定数が存在するための条件としてp-conductive homogeneityという概念を提唱し、この性質の元で空間上に (1, p)-Sobolev空間とp-energyに相当する物が構成できることを示した。とくにp=2の場合には空間上に自然な拡散過程を構成することに成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究で考察の対象となる空間はフラクタルなどの複雑な空間である。フラクタルはマンデルブローにより自然界の物体の適切なモデルとして提唱された。従来のユークリッド空間や可微分多様などの滑らかな空間をモデルとした物理学ではその上の物理現象は微分を用いて記述されるが、フラクタルなどの複雑な形状を持つ空間では微分を定義することが出来ない。すなわち、フラクタルをモデルとした物体上の物理現象を記述するためには、「微分を用いない解析学」の構築が必要となる。本研究はそのような微分が定義できないような複雑な空間上での解析学の基礎の確立を目指している。
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