研究課題/領域番号 |
21K18602
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分13:物性物理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 正明 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (10253395)
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研究分担者 |
大田 ゆかり 群馬大学, 食健康科学教育研究センター, 講師 (40399572)
井上 倫太郎 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (80563840)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 深海タンパク質 / オスモライト / 中性子散乱 / α-グルコシダーゼ / 分子動力学計算 |
研究開始時の研究の概要 |
深海生物におけるタンパク質の高圧による変性の防御はトリメチルアミンオキサイド(TMAO)がタンパク質周囲に形成する防御シェルであると予測されている。本研究はこ防御シェルの存在を重水素化と中性子溶液散乱の技術を用いて実測し、さらにそのシェルの詳細な構造解明及び圧力依存性を明らかにする。本研究により計算により推定されているTMAOによる防御シェルの実態が初めて明らかにされることが期待できる。更に中性子は物質透過性に優れている利点を持つことから、困難な高圧溶液散乱実験に適用が有利な手法である。よって、本研究では汎用的な高圧溶液系でのタンパク質の構造測定法の確立も目指す。
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研究実績の概要 |
前年度は深海由来のGSJの高圧小角中性子散乱(SANS)実験をJRR-3に設置されているSANS-Uを用いて行った。その結果、常圧下では回転半径(Rg)=25.3+-3.8Aであったが,100MPa印加下ではRgが53.6+-13.1Aと変化し、圧力印加に伴う変性が確認された。2023年度はこの圧力変性が計算機上で再現できるかを試みた。最初の試みとして圧力を印加下での通常の全原子分子動力学シミュレーションを行ったが、1マイクロ秒の時間範囲内で常圧下でのRgとほぼ変化しなかった。つまり、SANS実験で確認されたようなRgの変化を現実的なシミュレーション時間で再現できないことが明らかとなった。タンパク質内部に水が浸入することにより疎水性残基の結合が弱まることでタンパク質の高圧変性が起きると考えられている。そこで、このアイデアに基づきタンパク質内部にランダムに水分子を挿入させるアルゴリズムを独自に開発し、その状況下で圧力印加した100nsの全原子分子動力学シミュレーションを行った。その計算結果から得られたスナップショットを確認すると、native状態と比較して明らかに広がった構造が確認された。そこで、各スナップショットに対してRgを求めたところ41-49.5Aの値が確認され、計算機上で実測されたRgの増大、即ち圧力変性を再現することに成功した。より長時間の全原子分子動力学シミュレーションを行うことで、より実験データを再現するような構造集団の取得が可能になると期待できる。また、同様のシミュレーションの系を用いてオスモライトであるトリメチルアンモニウムオキサイド(TMAO)添加系の全原子分子動力学シミュレーションも行った。TMAO非添加系と比較してタンパク質表面の水分子の動径分布関数が変化したことから、TMAOによる水和構造の変調が高圧下におけるタンパク質の構造安定性に寄与していることを定性的に確認できた。
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