研究課題/領域番号 |
21K18611
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 和貴 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451491)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 液体金属 / 低気圧プラズマ / 磁場揺動 / プラズマ揺動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,動的挙動を有する液体金属とプラズマが磁場を介して接触する状態を室内実験により構築し,導電性流体と磁場の相互作用,流体と磁場の乱れの発生,磁場の乱れを介したプラズマと導電性流体の相互作用等に関する実験研究を行う.これにより,天体内部の導電性流体が作り出す磁場構造と天体周辺のプラズマ現象を包括するような室内実験の構築へと挑戦する.特に,真空容器内部に3000rpm程度の高速回転が可能な回転駆動機構と低融点金属の加熱機構を設けることで,磁気レイノルズ数が1を大きく超えるような導電性流体を真空中に作り出し,プラズマとの相互作用を誘発しうる天体模擬実験へと挑戦する.
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研究実績の概要 |
初年度に開発した,高真空を保持した状態で高速回転可能な液体金属駆動系と高周波プラズマ源を設置した真空容器の側壁からラングミュアプローブを挿入し,イオン飽和電流の揺動計測を実施した.ここでは,新たに計測したデータログシステムを用いてプローブ信号を長ワード長で計測し,高速フーリエ変換を行うことで,主にプラズマ揺動のパワースペクトル密度を評価した.その結果,液体金属を封入した容器の回転周波数と同等の周波数で密度揺動が駆動されていることが示され,その揺動強度が外部印加磁場強度で変化することが観測された.これは,液体金属表面の乱れが磁場を介してプラズマ中へと伝達するものであると予想され,液体金属の乱れとプラズマ揺動が結合していることを示唆しているといえる. 一方で,液体金属容器の回転周波数を増大した際に,遠心力により溶融した金属が回転容器から飛散してしまい,真空容器内部で凝固し,装置運用が困難になることが分かった.したがって,液体金属の飛散を抑制できるように装置の改善が必要であることが分かった. 前年度までに,スパッタリング現象が顕著になる現象が観測されており,この現象の推進機応用に関して研究展開を図った.その結果,スパッタリング現象による質量放出によって推力が発生することが明らかになり,新たな概念の電気推進機を提唱するに至った.特に小型推進機への応用が期待されるため,最終年度では詳細なデータを取得し,多方面へと研究展開が出来る可能性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
液体金属を高速回転した際に,同様の周波数帯においてプラズマ中に揺動信号が励起されることが観測され,その詳細は明らかにはなっていないが,おおよそ計画通りに研究が進展しているといえる.さらに,研究を進める過程でスパッタリング現象が顕著になることも新たに観測され,多方面への研究展開が期待される状況にあり,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
遠心力による液体金属の飛散が確認されており,この問題点を解決することで,今年度まで実施した実験よりも高速で運動する動的液体金属を形成することが可能になるため,最終年度にはこの技術的な問題点の解決を図ることで,将来的に天体模擬実験が可能な装置となるように研究開発を進める.また,現状の回転速度において得られるプラズマ揺動の詳細計測を実施することで,液体金属とプラズマの相互作用に関して明らかにしていく予定である.
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