研究課題/領域番号 |
21K18616
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 宏昌 名古屋大学, 低温プラズマ科学研究センター, 教授 (00508129)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | プラズマ活性溶液 / 低温プラズマ / プラズマ活性乳酸リンゲル液 / コロナウイルス / SARS-Cov2 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、低温でプラズマを発生する技術が進歩したことにより、生命科学への応用が盛んに行われている。WHOが2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症はパンデミックであると宣言して以来、感染症対策は世界中で喫緊の課題となっている。本研究では、感染症拡大抑制に資する低温プラズマ及びプラズマ活性溶液の開発を目指す。具体的には豚コロナウイルスや新型コロナウイルスに対する低温プラズマ照射及びプラズマ活性溶液による不活化試験を行う。更に、ウイルスのエンベロープの構造の変化を調べることにより、エンベロープウイルスに対する低温プラズマ及びプラズマ活性溶液による不活化の分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
一昨年度、ベルリサーチセンター小屋博士と共同で、BSL2で取り扱いが可能なヒトコロナウイルスOC43の実験系を立ち上げたり、受託解析によMild PALの豚コロナウイルス(PVDE)に対する不活化能と新型コロナウイルスSARS-Cov2デルタ株に対する不活化能を調べ、コロナウイルスを不活化するPALの条件を見出したが、昨年度は、更に、ペンタイプのプラズマ装置の実験系を立ち上げたり、PALの成分に関する知見を深めるための基礎的な実験を進めた。ペンタイプのプラズマ装置を使い、照射時間や照射距離を変えながらPALを作製し、pHや過酸化水素濃度、亜硝酸イオン濃度を計測し、どのようなパラメーターセットでどのような条件のPALが作製できるかの基礎的なデータを収集した。また、PALの成分解析の一環として、ESR、NMR、GC-MS、LC-MSを駆使して、これまでにPALの成分として同定されたピルビン酸、酢酸、ギ酸、グリオキシル酸、2,3-ジメチル酒石酸の反応生成メカニズムを明らかにし、Plasma Processes and Polymersに論文公表した。更に、完全密閉プラズマ活性溶液作製装置を用い、アルゴン雰囲気下で、フィードガスとしてアルゴンガス100%、アルゴンガス90%+酸素ガス10%、アルゴンガス90%+窒素ガス10%、アルゴンガス80%+酸素ガス10%+窒素ガス10%の酸素の条件下でPALを作製し、pHや過酸化水素濃度、亜硝酸イオン濃度を計測し、成分がどのように変化するのかの解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BSL2で取り扱い可能なヒトコロナウイルスOC43の実験系が一昨年度立ち上げられ、昨年度はPALの成分やその反応機構に関する研究が躍進したため、コロナ不活化のためのPALの開発に向けて大きく前進し、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、PALの成分に関する知見が更に蓄積されたが、亜硝酸イオン濃度が高いことがコロナウイルスの不活化能上昇と関係しているかどうかを調べるために、引き続き、完全閉鎖型のプラズマ活性溶液作製装置を用い、アルゴン雰囲気化でプラズマ活性溶液を作製し、窒素ガス添加によるPALのコロナウイルス不活化能の違いを調べたり、また、アルゴン雰囲気化で、窒素ガスや酸素ガスを 様々な混合比で添加することにより、コロナウイルス不活化能におけるPALの最適化を試みる。また最終年度であるため、これらの成果をまとめて論文を投稿したいと考えている。
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