研究課題/領域番号 |
21K18617
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分14:プラズマ学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梶田 信 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00455297)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 光電気化学 / プラズマ / ナノ構造 / ヘリウム / ファズ / 光触媒 / エチレン分解 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らにより,ヘリウムプラズマ照射により,金属の表面に金属綿毛が形成できることが分かってきた。本研究では,この金属綿毛を,既存のドライプロセス法を組み合わせ,金属綿毛に異なる物質を積層(ヘテロ接合)・付与した機能性光学材料の創成を目的とする。特に,水分解による水素生成を目指した光触媒材料や,可飽和吸収体への展開を目指し実験を行う。
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研究実績の概要 |
酸化鉄は可視光応答性を持つ光電極材として注目を浴びている。本研究では,バルク鉄(Fe)シートの形態,表面特性,および光電気化学的性能に及ぼすヘリウム(He)プラズマ照射と熱処理の影響を調べた。光電極の性能,特にオンセット電位に及ぼすヘリウムプラズマ処理の影響を調べるため,本研究では,バルクFeシートにヘリウムプラズマ処理を施した後,Fe酸化物に焼成し,これらの試料を他のさまざまな前処理と比較した。本研究では,クラックが発生しやすい薄膜よりも,安定性が高く,プラズマ照射パラメーターの変更が可能なバルク試料に焦点を当てた。ラマン分析の結果,プラズマ処理後,すべてのサンプルは主にα-Fe2O3表面から構成されていた。ヘリウムプラズマ照射により,光電流のオンセット電位が1.16 VRHE(前処理なし)から0.57 VRHE(660℃でのプラズマ照射)にカソードシフトした。真空アニールした試料では,すでにオンセット電位の低下が見られたが,プラズマ照射によって,特に高温になるほど,オンセット電位はさらに著しく低下した。すなわちアニール以外の原因でオンセット電位が減少した。これまでのところ,ナノ構造形成による表面積の増大が最大の焦点となっている。しかし,カソードシフト,すなわち,より低いオンセットへのシフトは,光電極の効率と性能を向上させるという観点から,特に興味深く,電流密度とオンセット電位の両方ともに,光電気化学(PEC)の性能を調整するための重要な特性パラメータであり,Heプラズマ処理はそのための重要な方法であることが本研究で実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プラズマ照射電極のPEC特性を評価した結果,当初想定していなかったカソードシフトが発見された。
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今後の研究の推進方策 |
WO3等の系統的なプラズマ照射及び表面化学的な分析を実施して,PEC特性の向上に与えるプラズマ効果のメカニズムを解明する。
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