研究課題/領域番号 |
21K18625
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 康博 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80792704)
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研究分担者 |
黒澤 俊介 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任准教授 (80613637)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ニュートリノ / 二重ベータ崩壊 / 無機結晶シンチレーター / ガドリニウム / GAGG / GPS / ニュートリノレス二重ベータ崩壊 |
研究開始時の研究の概要 |
ニュートリノがそれ自身の反粒子であるというマヨラナ性を持つかどうかは、現在の素粒子物理学で残された重要な未解明の問題の一つである。ニュートリノがマヨラナ性を持つ場合には、ニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊が起こる予想されており、本研究ではガドリニウムによる本プロセスの探索を行う。そのため、スーパーカミオカンデ・ガドリニウムプロジェクトのために開発した超高純度ガドリニウム精製技術を応用し、超高純度のガドリニウム無機結晶シンチレーターの開発を行う。これを用い、先行研究を上回る感度でのガドリニウムからの二重ベータ崩壊探索を目指すとともに、将来の大型実験の検討を行う。
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研究実績の概要 |
ニュートリノが、それ自身の反物質であるというマヨラナ性を持つかどうかは、現在の素粒子物理学に残された重要な未解明の問題の一つである。ニュートリノがマヨラナ性を持つなら、原子核がニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊を起こすと予言されており、様々な原子核を用いたこの事象の探索が世界中で行われている。 本研究では、スーパーカミオカンデ・ガドリニウムプロジェクトのために開発した超高純度ガドリニウム精製技術を応用し、ガドリニウムを含んだ高純度無機結晶シンチレーターを開発し、それを用いてガドリニウムの二重ベータ崩壊を探索する。 先行研究では結晶中の放射性不純物由来の背景事象により感度が制限されていた。その主要な混入経路は原料であるガドリニウムの精製過程にあると考えられるため、高純度ガドリニウムを原料とすることで背景事象の大幅な低減が期待できる。本研究では高純度原料を使用することで、主要な放射性不純物の量を先行研究に比べて一桁程度低減させた結晶の精製技術を確立させ、ガドリニウムの二重ベータ崩壊を世界最高感度で探索することを目指している。 2023年度は、高純度酸化ガドリニウムを用いて作成したGAGG結晶の試験を2022年度より引き続き行なった。特に、結晶表面に放射性不純物が多く含まれていることを示唆する結果を得たことを踏まえ、表面のケミカルエッチングを行い、その結晶について放射性不純物の評価を進めた。 さらに、上記と並行して、より高感度での観測を目指すために、GPS(Ce添加Gd2Si2O7)結晶など他のガドリニウムを含んだ結晶の検討を開始した。現在、新たな候補結晶について、その発光性能や放射性不純物量の評価を進めている。 これらの結果について、日本物理学会2024年春季大会で報告を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射性不純物の評価として、その由来の解明のためゲルマニウム検出器、表面アルファ線検出器、遅延同時計測などの多角的な調査を行う必要が生じ、それらの実施に想定より多くの時間を要した。評価自体は着実に進行しており、技術的な問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きGAGGおよび新たに検討を開始したGPS等の結晶について、放射性不純物量および発光特性の評価を多角的に行ってゆく。これらを通じ、放射性不純物を十分低減した育成が可能で、かつ発光特性が二重ベータ崩壊探索に適した結晶を選定することを目指す。これにより、ガドリニウムの二重ベータ崩壊を世界最高感度で探索するための技術を確立する。
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