研究課題
挑戦的研究(萌芽)
重力波観測においては低周波帯での観測が重要である。例えば、中間質量ブラックホール連星の合体からの重力波を低周波帯で精密に観測することで、一般相対性理論の強力な検証が可能となる。しかし、地上では地面振動や懸架の熱雑音のため、高感度の実現は期待できない。そこで、我々は、干渉計の鏡を周期的に自由落下させ、低周波帯の感度を飛躍的に高める手法を開発する。我々は、この周期的無重力干渉計型重力波検出器のプロトタイプを開発し、本手法を次世代重力波検出器に用いた時に、どの程度の精度で一般相対性理論の検証ができるのかを見極める。また、実際の観測も行い、低周波帯における世界最高レベルでの重力波観測も行う。
本研究の目的は、干渉計の鏡を周期的に自由落下させ、低周波帯において感度を飛躍的に高める、いわゆるジャグリング干渉計型重力波検出器を開発することである。理論面においては、ジャグリング干渉計の使用により、中間質量ブラックホール連星の準固有振動状態からの重力波検出など、サイエンスにおいて大きな進展が期待できることを導いた。実験面においては、リニアステージを用いて鏡投げ上げ機構を製作し、鏡が実際に無重力状態になることを確認した。また、鏡の角度変化を抑え込み、干渉計のコントラストを維持できる状態まであと一桁と迫ることができた。
2015年の重力波の初検出により重力波天文学が創成し、その後も検出が続いている。今後は、重力波天文学をさらに発展させ、最終的には宇宙誕生直後のインフレーションから発生したと予想される原始重力波を検出し、宇宙誕生の謎を解き明かすことが期待されている。そのような状況の中、我々が開発したジャグリング干渉計は、従来の地上重力波検出器の低周波帯における感度を飛躍的に改善する可能性を持つ全く新しい検出方式である。本研究により、期待される感度と科学的成果が明らかになり、最も重要な特性が実験的に確認されたことで、ジャグリング干渉計の実現に向けた着実な一歩を踏み出すことができた。
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Physical Review D
巻: 106 号: 4 ページ: 1-1
10.1103/physrevd.106.042007