研究課題/領域番号 |
21K18632
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
牧村 俊助 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 技師 (10391715)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | チタン合金 / 積層造形 / 加速器機器製造 / ビーム窓 / 研磨法 |
研究開始時の研究の概要 |
粒子加速器において厚みと密度の積を極力、小さくするとともに耐圧性能高いビーム窓を開発する。そのために64チタン合金の積層造形法を応用する。積層造形による材料は従来の製造法による材料と機械特性が異なるため、これらに関して調査を行う。引き続いて、実際の実機に相当するサイズのビーム窓を製造し、真空性能、耐圧性能を確認する。
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研究実績の概要 |
真空内で加速された粒子や生成された粒子の取り出し、加速器の区画に用いられるビーム窓は超伝導加速器では液体ヘリウムの漏洩に備え、大気圧以上の高い耐圧性能が求められる。一方で、透過するビームのロスを低減するために、密度が小さく・薄いと同時に、強度が高く・伸びが大きい材料による口径の大きなビーム窓の開発が望まれている。本研究では、この要望に応えるべく積層造形によるTi-6Al-4V製の薄い球殻状ビーム窓の開発を目指している。 厚みの異なる薄板試験片を製造し引張試験を行うことによって、強度を担保できる厚みを確認した。また、積層造形後の表面が粗い場合には疲労強度が低下することが知られているため、薄板の表面研磨する複数の手法の試験を行い、最適な研磨法を確立した。 実際に、J-PARCハドロン実験施設COMET実験に使用する内径260 mm、厚み0.5 mmのJIS250A規格のTi-6Al-4V製ビーム窓の開発に成功した。このビーム窓は9気圧の耐圧試験でも破損することはなかった。また、ヘリウムリークディテクタの検出限界以下である3×10E-10Pa・m3/sec以下のリーク量であることを確認した。 1枚のJIS200Aのビーム窓と2枚のJIS250Aのビーム窓を製造し、実際にCOMET実験 Phaseアルファの陽子ビーム運転に採用し、無事に実験を終えることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
十分な耐圧性能、ビーム運転の要求仕様を満足するJIS規格に対応する大口径薄板の球殻状Ti-6Al-4V製ビーム窓の製造に成功し、実際のビーム運転に採用されたため。
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今後の研究の推進方策 |
積層造形の利点を生かし、レーストラック型ビーム窓、波型ビーム窓の製造に挑戦する。また、応用範囲を広げるためにアルミ合金製のビーム窓の開発も進める。
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