研究課題/領域番号 |
21K18642
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井龍 康文 東北大学, 理学研究科, 教授 (00250671)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 続成作用 / 変質 / ラマン分光 / XRD分析 / 炭酸塩生物殻 / 酸素同位体比 / ラマン分光法 / 炭酸塩 / 炭酸塩鉱物 / 結晶度 / 電子線マイクロアナライザー分析法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,電子線マイクロアナライザー分析法とラマン分光法を組み合わせた非破壊分析が炭酸塩試料の続成判定にどの程度有用であるかを評価する.炭酸塩鉱物の結晶度は原子配列の規則性を示す指標であり,炭酸塩が形成される過程での結晶成長速度,母液の組成,MgやSrの取り込み量によって変化する.結晶度が高い炭酸塩鉱物ほど熱力学的に安定で,形成当時の状態が維持されやすく,結晶度が低いほど結晶組織が改変しやすい.以上に基づき,同一の空間分解能で可視化した結晶度と金属元素の濃度・分布が,炭酸塩の保存状態を定量的に評価するための指標となるかどうかを,未変質の炭酸塩と続成変質した炭酸塩を用いて比較検討する.
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研究実績の概要 |
2022年度はラマン分光分析を用いた続成変質部位の特定に関する実験方法の更なる改良に取り組み,炭酸塩試料に適した詳細な測定条件およびデータ解析手法を確立した.前年度測定した炭酸塩生物殻のラマンスペクトルには,結晶度 (ピークの半値幅)と微量金属元素濃度(例えば,Mg/CaやSr/Ca)に関係が見られたが,その変動は微小であり,半値幅の解析精度を向上させる必要があった.そこで,露光時間,積算回数,各種装置条件の見直し,Ne輝線の同時測定,ピーク解析ソフト(PeakFit)でのフィッティングに取り組んだ.その結果,半値幅を小数第2位の精度で解析できるようになり,目標としていた小数点以下の変動を捉えることが可能になった.加えて,ピーク位置のずれ(ラマンシフト)も半値幅と同様に小数第2位の精度で解析できるようになり,先行研究でSr/Ca比が高いとされる部位ではピーク位置が負にシフトする傾向を確認できた.また,前年度課題として挙がった蛍光の影響も,装置条件の見直し,ベースライン補正の改善によって解決された.今後,生物源炭酸塩のラマン分光分析によって得られる結晶度,ピーク位置のずれと微量金属元素の分布や濃度(絶対値)の直接比較を行う予定である. また,陸水性続成作用を被りやすいアラゴナイトから生物殻(例えば,軟体動物殻)を用いた古環境解析では,変質部位の特定が問題である.そこで,貝塚から出土したシャコガイの殻を用いて,酸素同位体分析用の試料を採取した側線に沿って,1年間の区間ごとにXRD分析用試料を採取し,変質部位の特定を試みた.その結果,変質した区間が特定された.この結果に基づき古水温を再計算したが,依然,予想される値より高めの海水温が得られた.そこで,この原因を続成変質以外の要因を含めて検討中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に予定していた,電子線マイクロアナライザー分析に取り組むことはできなかったが,ラマン分光分析における半値幅やラマンシフトの微小な変動を捉える手法を見出した点は成果として大きい.これによりラマン分光分析によって得られる結晶度と微量金属元素濃度の比較を確信を持って進めることができる. 一方,XRD分析を用いた続成部位の特定に関しても,「酸素同位体分析用の試料を採取した側線に沿って,1年間の区間ごとにXRD分析用試料を採取し,変質部位の特定」するという手法が有用であることが示された.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,まず電子線マイクロアナライザーを用いた金属元素濃度の定量法の確立に取り組む.具体的には,電子線マイクロアナライザーによる元素マッピングと,誘導結合プラズマ質量分析法によって得られる高精度の金属元素濃度の結果を比較し,両者の関係式を導出する.定量法が確立した段階で,様々な素性の炭酸塩堆積物,炭酸塩化石試料,炭酸塩鉱物に対して,ラマン分光分析と電子線マイクロアナライザー分析を行い,これらを組み合わせた非破壊分析による続生判定がどの程度有用であるかを検討する.
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