研究課題/領域番号 |
21K18643
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鍵 裕之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (70233666)
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研究分担者 |
三村 耕一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80262848)
奈良 雅之 東京医科歯科大学, 教養部, 教授 (90301168)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | アミノ酸 / 高圧 / 不斉増幅 / 氷 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、ホモキラリティが氷惑星・衛星内部の高圧環境でアミノ酸が重合する過程でもたらされた不斉増幅に起因するのではないかと言う仮説を持っている。本研究の目的はこの仮説を実験と分子シミュレーションの併用によって、証明することにある。高圧下でのアミノ酸の重合反応では、大きな立体障害によって著しい不斉増幅が起こる可能性が高い。そこで我々は、アミノ酸の種類と配列によっては、L体が選択されていく条件があるのではないかという発想に至った。本計画ではL体が濃縮する配列を網羅的、かつ分子シミュレーションに基づいて戦略的に見いだし、ホモキラリティの起源について従来にない全く新しい可能性を提案するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、生命体がL体のアミノ酸のみから構成されるというホモキラリティが、氷惑星や衛星内部の高圧環境でアミノ酸が重合する過程でもたらされた不斉増幅に起因するのではないか、と言う我々の仮説が成り立つか否かを実験的に実証することを目的としている。 そこで本年度は代表的なアミノ酸であるアラニンを取り上げ、その光学異性体であるL体とD体を出発試料として高圧実験を行い、その生成物である二量体、三量体の立体異性体を質量分析法で定量的に解析する手法の開発に取り組んだ。二量体、三量体にはそれらを構成するアラニンのL体とD体が含まれるため、その異性体の数はそれぞれ4種類、8種類となる。これらを通常のLC-MS(液体クロマトグラフィ質量分析計)で構造解析することは不可能である。そこで出発試料のL体を重水素置換体でラベルした上でキラルカラムを用いたLC-MSによる異性体分析を行うことで、これらの異性体を精度良く分離可能であることを明らかにすることができた。また、これらの分析を行う上で、全ての光学異性体を含んだ二量体、三量体の合成を行い、それを標準試料として用いることもきわめて重要である。本研究ではFmoc固相合成法を適用することによって、標準試料の作製に成功した。 これらの開発を行った上で、室温、10 GPaでの高圧実験で得られた回収試料に含まれる二量体、三量体の異性体解析を行った。これらの回収試料からは想定される全ての異性体が検出された。今後は高圧実験で得られた回収試料を精密に解析し、不斉濃縮の可能性について議論を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、今年度は高圧実験で生成が想定される光学異性体を含んだ重合生成物の解析方法を確立することができた。これまで本研究で想定されるような複雑な異性体の分析は取り組まれていなかったので、新たな分析手法を提案することができたのは大きな進歩と考えられる。研究の最終目標に到達するにはもう少し時間が必要になるかも知れないが、萌芽研究としての本研究課題の到達目標は概ね達成されたのではないかと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に取り組みながら、高圧下でのアミノ酸の重合過程がきわめて重要な役割を果たすことが改めて認識された。一方で、アミノ酸の高圧下での重合のみならず、アミノ酸の単量体を含む水溶液系においてもその凝縮や溶解の過程で不斉濃縮が起こる可能性にも着目する必要があるという着想にも至った。本萌芽研究を足がかりとして、今後より基盤的な研究が拡がる可能性が高まっている。
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