研究課題/領域番号 |
21K18648
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 (2023) 横浜国立大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
癸生川 陽子 東京工業大学, 理学院, 准教授 (70725374)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 隕石 / 小惑星 / 放射線 / アミノ酸 / 隕石母天体 / ガンマ線 / 太陽系小天体 / 地球外有機物 / 有機物進化 |
研究開始時の研究の概要 |
隕石にはアミノ酸などの有機物を含むものがあり,これらが原始地球において生命の原材料となった可能性がある。このような隕石の母天体である小天体は集積時に氷を含んでおり,放射性核種の崩壊による熱で氷が液体となり,含水鉱物などが形成されたことが知られている。このような液体の水を生じる過程は,有機物の形成・進化にも寄与したと考えられ,単純な分子から,アミノ酸や複雑な固体有機物が形成されることがわかっている。しかし,これまでの小天体での有機物形成の研究では,放射線そのものの効果は調べられていない。そこで,ガンマ線照射実験を行い,小天体でのアミノ酸等の有機物形成への放射線の効果を検証する。
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研究成果の概要 |
始原的な隕石にはアミノ酸などの有機物を含むものがある。これらの母天体内では太陽系形成初期に放射性核種の崩壊による熱で氷が溶け,水質変質が起こったことが知られている。水質変質過程は有機物の形成にも寄与したと考えられるが,熱の影響のみが考慮されており,放射性核種による放射線の直接的な効果は考慮されていない。本研究では,放射性核種の崩壊によるガンマ線の効果を検証するため,ホルムアルデヒドとアンモニアを含む水溶液にガンマ線照射実験を行った。その結果,ガンマ線がアミノ酸の形成を促進することがわかった。ガンマ線照射により生成したアラニン量は,線量率とは無関係に,総照射線量に対して直線的な関係を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は,太陽系形成初期における有機物の生成過程に関する新たな知見を提供することにある。従来の研究では放射性核種の崩壊による熱の影響のみが考慮されてきたが,本研究はガンマ線の直接的な効果も重要であることを示した。ガンマ線がアミノ酸や糖の形成を促進することが明らかになり,宇宙における有機物の生成過程をより包括的に理解するための基盤を提供する。 社会的意義は,宇宙における有機物の生成過程を解明することにより,地球外生命の可能性や生命の起源研究に貢献し,生命の起源に関する理解を深めることが挙げられる。これにより,科学教育や宇宙探査の意義が広まり,一般の科学への関心を高めることにつながる。
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