研究課題/領域番号 |
21K18653
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石村 豊穂 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 安定同位体 / 微量分析 / 炭酸塩 / 機器開発 / MICAL / 有孔虫 / 耳石 / 環境解析 / MCIAL |
研究開始時の研究の概要 |
世界最高水準のCO2・炭酸塩の高感度安定同位体比分析を場所を問わずに活用可能にするために,可搬型・省スペースの「MICAL-U」を開発し他機関での稼働実証を目的とする。分析機器を使いたい人が来るのでは無く,機器が使いたい人の元へ行けば良いという発想で,応用研究の展開と研究成果獲得の効率化に寄与する。各社IRMSやCRDS分析装置にも接続可能なユニバーサルデザインの小型汎用装置で,他機関への移設検証後はニーズに応じて数ヶ月単位での貸出など,MICAL分析技術を本邦へ広く提供可能にすることを目指す。オンライン時代のテレアナリシス実現への萌芽研究であり,研究期間を通じて実際の応用分析も試行する。
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研究実績の概要 |
炭酸塩(CaCO3)の炭素酸素安定同位体組成は形成時の水温や周辺環境の様子を同位体比として記録するため,過去60年以上にわたり古気候復元や地球環境変動解析の基盤ツールとして活用されてきた。MICALは従来の1/100以下の炭酸塩(およびCO2)を高精度で分析できる世界唯一の装置であるものの,①共同研究に提供できるマシンタイムや人的資源の限界が課題となった。さらに②終焉の見えないコロナ過による人の往来の制限が生じ,技術提供が困難な状況に直面した。本研究の目的は,可搬型・省スペースの「MICAL-U」を開発し,他機関の各社安定同位体比質量分析計やレーザー分光安定同位体比分析装置にも接続可能な小型汎用装置の設計と構築をすることと,萌芽的応用研究の拡大を主眼に置いている。 2023年度は前年度に引き続きコロナ渦の影響による機器構築部材の入手に遅延が生じていたものの,ハードウェアのメインフレームの再設計と構築作業をすすめることができた。一方で,小型ガスクロマトグラフ(GC)のカスタマイズと接続作業等に際して,微量流量調整の不具合や制御機構の構築に課題を見いだしたため,別途GCを導入して再設計をすることを検討した。全ての作業が手作業であり,細部にわたる加工と気密性の検証等が必要であり,構築には時間を要している。コロナ渦による物流停滞や電子部品の供給停滞によって,制御システムに必要なデジタルアウトプットデバイスなどの電子製品が入手困難な状況が続いたが,電子部品の入手が完了したため2種類の新たな制御機構と制御ソフトウェアの構築がほぼ完了した。現状では,GCの最適化とメインフレーム調整作業に時間がかかっていることが,MICAL-U構築の制約となっている。しかしながら,コロナ渦の作業遅延の影響を取り戻すべく作業工程と研究計画を再編し,機器の完成と稼働に向けた準備は順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ渦の物流停滞や電子部品の供給停滞によって,制御システムに必要なデジタルアウトプットデバイスなどの電子製品が入手困難な状況が続いていたが,本年度に主要部材が揃ったことで制御システムとソフトウェアの開発は順調に進んだ。一方で,小型GCの最適化と検証作業に時間がかかっていることが,MICAL-U構築の大きな制約となっている。特にGCの微量ガスの制御と分離カラムの選定に時間がかかり,本年度後半でGC構成の再検討を進めた。メインフレームの構築については既存のMICALをベースに効率化と省スペース化を図りつつ,最終形態の確定に向けた試行錯誤を重ねているところである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きハードウェアの開発と稼働調整をおこない,機器の構築作業を継続する。コロナ渦の影響で実質的に1年以上の計画の遅れがあり,この遅れを取り戻すべく作業工程と研究計画の見直しもすすめる。なお,小型ガスクロマトグラフ運用上の課題解決には基礎実験が必要であり,早急にGC接続の目処を立てて最終的な設計とする。得られた知見と成果は,テレアナリシスの一形態としても報告する。一方で,継続するヘリウム不足の現状を鑑みて,消費ガス量低減に向けたチューニングも勧める。基礎研究と応用研究については既存のMICALを用いて実証実験も行うことが出来るので,MICAL-U開発と並行して重点課題として継続する。また,今後の微量同位体分析の分析の質を担保する目的で,機器構築のみならず標準試料の評価や分析品質向上の基礎実験なども平行して行う。
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