研究課題/領域番号 |
21K18655
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
桑原 秀治 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (50505394)
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研究分担者 |
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (50726958)
門屋 辰太郎 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (60801347)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 鉄価数 / ブリッジマナイト / マグマ / 下部マントル / XANES / 2価鉄 / 3価鉄 / 分配 / マントル酸化還元度 / マグマオーシャン / 元素分配 |
研究開始時の研究の概要 |
地球の上部マントルは形成以来、時間とともに酸化してきたことが地質記録より明らかになりつつある。しかし、地球形成直後の上部マントルはどれほど還元的であったのか?また上部マントルが時間の経過と共になぜ、そしてどのように酸化したのか?といったことへの我々の理解は乏しい。 本研究では、地球形成期の溶融マントル中で晶出するマントル鉱物とマグマ間のFe2+とFe3+の分配係数を決定し、地球形成直後のマントル鉛直方向のFe3+濃度分布を制約することを目的とする。また、推定される初期マントル酸化還元状態の鉛直分布を初期条件とし、マントル対流による上部マントル、下部マントルの酸化還元度の進化を定量的に見積もる。
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研究実績の概要 |
本研究は地球上部マントルおよび下部マントルの酸化鉄の価数分布に制約を加え、地球史におけるマントルの酸化還元度進化を明らかにすることを目的としている。これまでの実験から、次のことが明らかとなった。1)岩石惑星形成時における金属核と岩石マントルの実効的な分離圧力が20万気圧を超えるとマグマオーシャン中の2価鉄の電荷不均化反応が効率よくすすみ、現在の地球上部マントルに比べて約一桁程度高い3価鉄が生成する(Kuwahara et al., 2023, Nature Geoscience)。2)下部マントル最上部圧力条件(23万気圧~27万気圧)ではブリッジマナイトと共存するマグマ間の2価鉄と3価鉄の分別はほとんど起こらず、その比は一定を保つ(Kuwahara and Nakada, 2023, Earth and Planetary Science Letters)。こうした結果とこれまでの地質記録をもとに、次のような地球マントルの酸化還元進化モデルを提案した。1)核-マントル分離時およびその後の固化過程において、現在の上部マントルよりも酸化的なマントルが形成する。2)地球形成後に降着した小天体に含まれる金属鉄によって還元的な上部マントルと酸化的な下部マントルの2層構造が形成する。 また、本年度はこれまでに行った金属核形成期におけるマグマオーシャン中の2価鉄の電荷不均化反応に関する実験を当初の予定を超えたさらなる圧力まで(38万気圧)拡張することができた。また、ブリッジマナイト―マグマ間の2価鉄と3価鉄分配に関する高圧実験および放射光施設での分析についても引き続き酸素フガシティー依存性など調べる研究にも着手することができた。
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