研究課題/領域番号 |
21K18657
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
芳野 極 岡山大学, 惑星物質研究所, 教授 (30423338)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 鉄同位体 / ゼーベック係数 / 酸化還元反応 / 核マントル境界 / 高圧実験 / 核ーマントル境界 |
研究開始時の研究の概要 |
鉄は太陽系の非揮発性元素の中でも最も豊富な元素であるが、地球のマントルの鉄同位体比はコンドライトより重い理由は謎のままである。本研究では、核―マントル境界(CMB)の上部に位置するマントル最下部は地球内部最大の熱境界層であることから、ゼーベック効果によりその境界で酸化還元反応が起き、核とマントル間で鉄の同位体分別が起きるという仮説を提唱する。高圧実験によって、ブリッジマナイトのゼーベック係数を測定し、境界で起こる反応が酸化反応であるか還元反応であるかを特定し、酸化還元反応によって鉄の同位体分別が起きるかを調査する。核―マントル境界においてマントルの重い鉄同位体比が形成可能か制約する。
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研究成果の概要 |
本研究課題によって、大容量のマルチアンビルプレスを用いた超高圧下におけるマントル、核物質の熱電測定の技術開発に多くの進展が得られた。ゼーベック効果によって期待される核マントル境界における電場において酸化還元反応が起こることが確認された。高圧下におけるマントル鉱物のゼーベック係数測定はこれまで報告は無かったが、本研究で上部マントル鉱物、マントル遷移層で最も豊富な鉱物であるオリビンとワズレアイトのゼーベック係数の測定に成功した。これらの進展は近い将来に地球の核マントル境界におけるゼーベック効果による鉄同位体分別の決定につながる成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
地球の核マントル境界で安定であると期待されるブリッジマナイトの直流電場における酸化還元反応の実験、ゼーベック係数の測定に至らなかったため、鉄同位体分別に関する見識を得ることはできなかったが、高温高圧下の熱電測定に向けた技術は直実に進展した。このことは多くの電極を小さい高圧セルに組み込む非常に難しい実験の超高圧下での実現に期待を持たせる。一方で地球内部での温度差に起因したゼーベック効果の研究は皆無であるが、その効果に一石を投じることができた。高圧下における熱電特性の研究の進展は、熱変換デバイスの評価、電極反応の研究の促進にも応用することで社会実装可能なデバイス開発にもつながることが期待される。
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