研究課題/領域番号 |
21K18661
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
大野 剛 学習院大学, 理学部, 教授 (40452007)
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研究分担者 |
澤木 佑介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00635063)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 水銀 / 同位体分別 / 大量絶滅 / 非質量依存 / 波長 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、水銀の同位体組成が光化学反応により非質量依存の同位体分別(異常同位体効果)を引き起こすことを用いて、大規模火山噴火の定量的研究手法を開発することを目的としている。本研究では、光化学反応における水銀同位体分別の波長依存性について明らかにし、微量水銀同位体分析法の開発を進め、ペルム紀-三畳紀境界の大量絶滅に対応する地層から採取した試料の水銀同位体比を測定することにより、本研究手法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、生物の大量絶滅と大規模火山噴火の関連性を調べる新たな指標として、水銀の同位体組成が光化学反応により非質量依存の同位体分別を引き起こすことを用いて、大規模火山噴火の定量的研究手法を開発することを目的としている。これまでの水銀同位体分析の前処理・試料導入法には主に酸分解法と還元気化法が用いられてきた。一方で、本研究が目標としている堆積物中の水銀はppbレベル(ng/g)と低濃度であるため、従来の酸分解・還元気化法を用いるとマトリックス効果により高精度な同位体分析が困難であるという問題があった。本研究では、天然の堆積岩試料中微量水銀に適用可能な新たな微量水銀同位体分析法の開発を目標としている。本年度は、水銀濃度が低い堆積岩を対象とした水銀濃縮法および同位体分析法の改良を進めた。具体的には、加熱気化水銀測定装置で試料を加熱し、試料中の水銀化合物を気化・定量した後、金アマルガムとして捕集濃縮する方法を改良した。数 ngレベルの水銀を捕集した捕集管をMC-ICP-MSの試料導入経路に繋ぎ、自作した加熱装置を用いて水銀同位体比測定ができることが確認できた。得られた信号強度を解析することにより妥当な同位体比を得られることが示された。また、今年度生物大量絶滅前後の地質試料を採取した。現在これらの堆積岩試料中の水銀量の定量を進めている。今後は同位体分析可能な量を見積もり、本研究により開発を進めている分析手法を用いて天然の試料へ応用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生物大量絶滅前後の地質試料を採取し、これらの試料中の水銀量定量を進めている。本研究により開発をした分析手法を用いて天然の試料へ応用することが可能となったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、水銀同位体異常のメカニズムについて特に波長依存性の観点で実験に取り組む。具体的には、キセノン光源を用いて250 nm-300 nm程度の領域での光酸化還元反応における水銀同位体異常の波長依存性を調べる。さらに、天然試料についても分析を進め、生物の大量絶滅に大規模火山噴火がどのように影響を与えたのかを議論する予定である。
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