研究課題/領域番号 |
21K18662
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
川上 了史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60566800)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 金属イオン / 大腸菌 / 進化 / 実験室進化 / ゲノム解析 / 細胞膜脂質 / ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、生物の利用する金属イオンは実験的に置換できる可能性があるのではないかという作業仮説をもとに、大腸菌を本来接触することがないような金属イオンに暴露し続ける手法を採用している。具体的な解析では、添加金属イオンの利用能を示す株の獲得、培養してきた集団や選抜してきた株についてのゲノム解析などを通じて、金属イオンの置換の可能性や添加金属イオンの生物に対する長期的影響の評価を行う計画である。目的の達成は、今後台頭が予想される宇宙生物学のような、地球外環境を想定した状況への生命の適応過程についての知見を与える可能性がある。
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研究成果の概要 |
水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄の6つの元素は、細胞の主要成分である水、脂質、核酸、タンパク質に利用されるため、基本的にはあらゆる生命に共通の元素と考えられる。一方、生命はこれらの元素に加えて金属イオンも利用する。金属イオンは電子移動や反応の触媒としての役割を持つが、初めに挙げた6元素とは異なり、生物種ごとに利用される金属イオン種に多様性がある。本研究では、生命がどの金属イオンを利用するのかという選択メカニズムを解明するため、大腸菌をモデルとして利用能がないと思われる金属イオン存在下で実験室進化を実施した。結果、添加金属イオンの性質を反映した変異の蓄積傾向を見出すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物が生存できる限界についての研究は、極限環境と言われる過酷な環境で生存する生物を対象にして行われるのが一般的である。本研究では、地球上には存在しないような元素環境を人為的に作り、その環境で大腸菌の進化を検討した。その結果、元素にはその性質によって、特定の方向に進化を促すことができる可能性があることを見出した。したがって、生命の生存できる環境の限界を拡張するための基礎的な知見を得ることができたという観点で、学術的な意義がある。また、多くの有用酵素が金属酵素であることも踏まえると、これまでには見られなかったような新たな金属酵素の開発を生物進化を通じて開発できる可能性にもつながる。
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