研究課題/領域番号 |
21K18663
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
荒木 光典 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 研究員 (90453604)
|
研究分担者 |
須磨 航介 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (10506728)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
|
キーワード | DIBs / キャビティーリングダウン / キャビティー増幅吸収 / ハロゲン化シアン / 酢酸メチル / 酢酸エチル / 分子雲 / 星間塵有機物 / 分光実験 / 生命起源 |
研究開始時の研究の概要 |
生命の起源は、初期地球への彗星衝突がもたらした有機物であると推定されている。その有機物の起源は、星間塵有機物である。背後の恒星を光源にした可視領域の観測により、低密度の星間雲には、それらを元に生じた吸収線群が600本程度未同定のまま検出されている。本研究では、星間塵有機物と化学組成が酷似する石油分留成分に着目する。それを放電し、広帯域であるキャビティー増幅吸収分光装置により、波長が一致する吸収線を探査する。次に、高分解能であるキャビティーリングダウン分光装置により、精密測定を行い、分子種を特定する。それにより、星間塵有機物の化学組成が明らかになり、宇宙における有機物起源の有力な手がかりとなる。
|
研究実績の概要 |
宇宙の未同定吸収線を同定するため、下記の分光実験及び分光装置開発を行った。 ①酢酸メチル及び酢酸エチルの高次倍音測定:キャビティー増幅吸収分光装置において、光学フィルタによる迷光除去の手法を開発し、感度を向上することに成功した。それにより、酢酸メチル及び酢酸エチルにおけるCH伸縮の第3-5倍音を初めて検出することができた。この感度を活用して、放電生成物の測定も可能になった。(Chem. Phys. Lett.受理) ②ハロゲン化シアンカチオンの電子遷移測定:キャビティーリングダウン(CRD)分光装置を用いて、ハロゲン化シアンカチオンの一つであるICN+のスペクトルを測定した。解析の結果、電子遷移波長と回転定数を精密に決定することに成功した。また、量子化学計算を用いて、星間物質として予想されるClCN+の回転定数を予測した。これら二つの情報から、ClCN+が宇宙で吸収線を生成した時のプロファイルを予測した。その結果、天文観測におけるClCN+の検出が可能になった。(J. Mol. Spec. 審査中) ③ CCPラジカルの電子遷移探査:CCPラジカルはリンを含む最も基礎的な炭素鎖ラジカルである。高精度の量子化学計算を行った結果、低い電子励起状態として2Δiのほかに2Σ-、2Σ+の2状態があり、いずれも十分な遷移強度を持ち、先述のLIFによる探査領域にも強い吸収を持つ可能性が高いことがわかった。これらの2状態についてCRD分光による探査を行った。 ④ 探査可能波長域の拡張:所有しているCRD分光器の探査領域が近赤外から可視光領域に限られていたため、スペクトル探査の対象となり得る分子種や状態に大幅な制限があった。本年度研究により紫外域まで探査可能波長域の拡張を行った。これを用い、紫外域で非蛍光性のラジカルおよびラジカル分子錯体の電子遷移の観測を試みた。
|