研究課題/領域番号 |
21K18685
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分19:流体工学、熱工学およびその関連分野
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
守 裕也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80706383)
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研究分担者 |
後藤田 浩 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (00434712)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 乱流のダイナミクス / 乱流の非線形予測 / 記号力学 / 時系列解析 / 乱流 / 非線形時系列解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまで線形理論に基づき解析されてきた乱流の時空構造を、情報論と記号力学に基づく非線形時系列解析を用いて解明し、短期的な予測手法および最適な制御手法の構築を目的とする.そもそも乱流は強い非線形性により支配・維持され、解析手法も非線形性を考慮に入れるのは自然であり、本研究は線形をベースに構築された従来の理論を、非線形性を考慮に入れた新しい理論へと大きく転換し再構築させる潜在性を有している.非線形性を考慮に入れた解析はこれまでに多く実施されておらず、本研究は芽生え期の研究に当たる.
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研究実績の概要 |
流体輸送機器におけるエネルギー損失は乱流が一つの原因である.抵抗を減らすには乱流低減が必要であるが、その強い非線形性により予測し制御することは難しい.例え何らかの制御が効いたとしても、従来の研究が線形ベースの解析手法を用いているため本質的なメカニズムが不明である場合も多い。一方、近年進歩が著しい複雑系科学分野では、情報量という視点から見た非線形現象の解析が盛んである。情報量は、乱雑さを測る尺度である情報エントロピーを用いて定量的に評価されるため、複雑な時系列の波形を持つ乱流の解析に適しているはずである。そこで本研究ではこれまで線形理論に基づいて解析されてきた乱流場を、記号力学に基づく非線形時系列解析により調査し、さらに予測及び制御手法を構築することを目的とする.非線形性を考慮に入れた情報量を用いることで、乱流予測や制御の研究分野を大きく転換させる潜在性を有している。そもそも乱流の本質は強い非線形性であり、解析手法も非線形性を考慮に入れるのは自然である。しかし非線形性を考慮に入れた解析はこれまでに多く実施されておらず、本研究は芽生え期の研究に当たる.
本年度は、昨年度に引き続き平行平板間乱流の情報量の空間分布について調べ、情報量として推移ネットワークエントロピーを選び、乱流の壁面近傍の各層におけるダイナックスを詳細に調査した.また軌道不安定性に基づく時系列予測を実施し、その精度が十分であることを示した。本研究および本研究に関連して得られた研究成果は、国際会議発表3件(うち招待公演1件)、国内会議発表4件の公表に結びついた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平行平板間乱流における速度の時系列データを解析し、情報量の分布や時系列予測の精度をより詳細に調査した。得られた結果は、情報量の空間分布が既往の流体現象を特徴づける統計量をサポートする可能性を示した。従って、現在までで研究の達成度は「おおむね順調」であると考えている。なおフィードバック制御についてより詳細に調査するため、令和5年度も継続して研究を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度においては、これまでに得られたデータに基づくフィードバック制御法を構築し、その制御効果を調査する。その効果は、既往の乱流制御研究におけるフィードバック制御と比較する。
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