研究課題/領域番号 |
21K18726
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
久世 直也 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 准教授 (50852258)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 光周波数コム / THz / 位相雑音 / 低位相雑音 |
研究開始時の研究の概要 |
次世代無線通信では100 GHz以上の高周波のミリ・THz波のキャリアが必要になる。しかし、既存のエレクトロニクス技術である周波数逓倍による手法では位相雑音の劣化が問題となる。本研究では、マイクロコムと呼ばれる集積可能なチップスケールの光周波数コムの低位相雑音化の研究を行い、マイクロコムをフォトディテクタに照射することで、マイクロコムのコムモード間隔(100 GHz - 1 THz)に対応した低位相雑音なミリ・THz波発生を行う。
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研究実績の概要 |
去年度までに2波長自己遅延ヘテロダイン干渉計(two-wavelength delayed-self heterodyne interferometer: TWDI)を開発、位相雑音低減のためフィードバックループを構築した。本年度は実際にTHz発生を行い、低位相雑音化したマイクロコムから発生したTHzの位相雑音を測定した。通常、THzの位相雑音測定にはTHzとマイクロ波を周波数逓倍して発生するTHzを混合し、周波数下方変換することで位相雑音を測定する。しかし、本手法では発生するTHzは極めて小さい位相雑音が想定されるため、新規の位相雑音手法を開発した。開発した手法では、低位相雑音化した2台のマイクロコムを用意する(繰り返し周波数は560 GHz程度で、繰り返し周波数差は1 GHz程度)。これら2台のマイクロコムをUTC-PDに照射し、560 GHzのTHzを2波発生し、それらをショットキーバリアダイオードで2乗検波することでマイクロ波に下方変換する。得られたマイクロ波は2つのTHzの位相雑音の和に等しく、マイクロ波の位相雑音を評価することでTHzの位相雑音を測定できる。評価したTHzの位相雑音は10 kHzで-100 dBc/Hz程度であった。得られた位相雑音はこの周波数帯では光を使った手法においては世界最高品質のものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初目指していたマイクロコムを使ったTHz波発生が既存の手法に比べ優位であることを実証できたため。そこでは低位相雑音の発生のための手法を確立しただけでなく、位相雑音測定のために周波数逓倍するマイクロ波発振器を必要としないTHz波の位相雑音測定手法も確立したため。
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今後の研究の推進方策 |
位相雑音という観点ではマイクロコムを使う優位性を示すことができたが、TWDIを使ったフィードバックループを必要としたため、システムとしては複雑になってしまった。今後は受動的に位相雑音を低減する手法を考案し、マイクロコムを使ったシンプルな低位相雑音THz発生系の開発を目指す。
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