研究課題/領域番号 |
21K18734
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柳谷 隆彦 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10450652)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 圧電薄膜共振子 / 音響ブラッグ反射器 / エピタキシャル成長 / 圧電薄膜 / 分極反転構造 |
研究開始時の研究の概要 |
圧電薄膜の分極を反転させて多層にしていけば、音波の共振周波数はそのままに、厚さを層数倍していくことができる。このような構造を実現すれば、耐電力性を高めることが期待される。しかしながら、国際的に見て、理論計算は多数あるものの、薄膜の分極反転多層成長の実験的な成功例はない状況である。 本研究では、独自の圧電薄膜の分極反転多層構造の成長技術を用いて、耐電力性を向上させた周波数フィルタの実現に挑戦する。
|
研究実績の概要 |
基地局向けのRFフィルタには数W以上の耐電力性が求められる。5Gでは4Gに比べて多くの基地局が必要となる。圧電薄膜の分極を反転させて多層にしていけば、音波の共振周波数はそのままに、厚さを層数倍していくことができる。理論上、このような構造では高い耐電力性が期待できる。しかしながら、国際的に見て、薄膜の分極反転多層成長の実験的な成功例はない。本研究では、独自の圧電薄膜の分極反転多層構造および多結晶薄膜に比べて損失の小さい単結晶薄膜を用いて、耐電力性を向上させた小型周波数フィルタの実現をすることを目的としている。耐電力性の高いフィルタを得るには、従来の橋げた構造(FBAR構造)に比べて、基板に固定されており、排熱が容易なブラッグ反射器を用いた構造(SMR構造)の採用が必要と考えられる。まず、昨年度に構築したパルスエコー法による音響多層ブラッグ反射器の機械特性評価技術を拡張した。具体的には、昨年度まで超音波トランスデューサにはc軸垂直配向のScAlN圧電薄膜を用いて縦波のみを評価していたが、今年度には新たにc軸傾斜配向のScAlN圧電薄膜を開発し、世界初の横波の音響多層ブラッグ反射器の機械特性に成功した。さらにシミュレーションと実験の両面から有効性も確認できた。また、耐電力性向上に向けて、(111)Pt/サファイア基板へのScAlN圧電薄膜のエピタキシャル成長実験も行った。その結果、ScAlN圧電薄膜の(10-11)極点図では、理論通り明確な6回対称を確認することができ、エピタキシャル成長を確認することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新たにc軸傾斜配向のScAlN圧電薄膜を開発し、世界初の横波の音響多層ブラッグ反射器の機械特性に成功した。シミュレーションと実験結果も良い一致を示した。(111)Pt/サファイア基板へのScAlN圧電薄膜のエピタキシャル成長実験を行った結果、ScAlN圧電薄膜の(10-11)極点図では、理論通り明確な6回対称を確認することができ、エピタキシャル成長を確認することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後さらに高周波帯のブラッグ反射器の評価技術の確立および、エピタキシャル成長圧電薄膜をブラッグ反射器上に形成する手法について確率する。
|