研究課題/領域番号 |
21K18738
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
蟹江 俊仁 北海道大学, 工学研究院, 教授 (10332470)
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研究分担者 |
鄭 好 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40775384)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 永久凍土 / 凍結融解 / 数値シミュレーション / 地形変形 / 地球温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、永久凍土地帯で深刻化する温暖化によると思われる地形変化や崩壊を、大気から地表面を経て永久凍土層に至るまでの鉛直方向の凍結融解モデルと、二次元平面空間での地下水流動モデルを組み合わせた疑似三次元広域シミュレーションモデルにより再現し、その原因と抑止対策を考えるものである。 近年、永久凍土地帯では新たな大規模地滑りや陥没などの崩壊現象が見られるようになり、地球温暖化の影響が懸念されている。本研究では、この解析モデルを用いて数十年程度の間に発生する気温上昇や特異年における夏場の単年気温上昇が、永久凍土面深さの分布に与える影響を評価するとともに、それによる地盤沈下や地形崩壊について検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、永久凍土地帯で深刻化する温暖化によると思われる地形変化や崩壊を、大気から地表面を経て永久凍土層に至るまでの鉛直方向の凍結融解モデルと、二次元平面空間での地下水流動モデルを組み合わせた疑似三次元広域シミュレーションモデルにより再現し、その原因と抑止対策を考えるものである。 当初より計画していた「降雪・降水・蒸発」を見込んだシミュレーションプログラムは、最近の降雪・積雪情報に基づいてモデル化を実施し、整備が進められた。これにより、近年、発生する異常降雪による冬場の断熱効果も評価できるようになり、永久凍土融解との関係性に一定の知見が得られることとなった。 その一方で、当初予定していたシベリアでの現地調査は、コロナ禍やウクライナ情勢の影響を受け、実施ができなかったため、最新の観測結果と比較することは行われていない。現在、観測の制約を受けないアラスカや山岳凍土地帯での地中温度計測結果との比較等を通じて検証解析を進めているところである。 また、環境変化、環境擾乱発生箇所におけるメソスケールモデルでの凍結融解解析は、これまでに撮られた人工衛星画像に基づくInSAR分析結果との比較により、地表面沈下量の検討を進めており、概ね妥当な解析結果が得られている。解析精度をさらに向上させるためには、現地地質の詳細な分析が必要であり、現地調査ができないことが課題となっている。なお、これらの研究成果は2023年度に行われる国際会議で発表予定となっている。 全体を通じて、現地調査や現地データの比較を除いて順調に進められており、一年延期した最終年度である2023年に複数のジャーナルに投稿した上で、環境擾乱などによる地形変化が懸念される地域を対象に、その抑止対策等についても言及する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、利用が見込まれていたシベリアでの現地調査結果が、コロナ禍やウクライナ情勢を受けて入手できておらず、人工衛星画像によるInSAR画像分析結果との比較が中心となっている。観測された典型的な地形変化の一事象である地表面沈下量は、InSARによる分析結果と概ね一致しているものの、さらなる評価解析精度の向上には、現地地盤の最新調査が必要であり、その部分の検討が遅れの原因となっている。 また、当初考えていた国際学会での発表も、2023年度にずれ込むこととなっている。
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今後の研究の推進方策 |
シベリアを対象とした現地調査は当面、実施できる見込みがないため、InSAR画像分析結果との比較検証を中心に進めていく予定である。InSAR画像分析では、現地踏査のような制約条件がないため、これまでに見逃されていたような「地形変化」の兆しも、幅広に見つけられる可能性がある。そこで、このような地域を対象に、今回研究中のシミュレーションモデルで現象説明を行い、有効な対策案などを取りまとめることで、本研究成果を取りまとめていきたいと考える。
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