研究課題/領域番号 |
21K18758
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石田 泰之 東北大学, 工学研究科, 助教 (20789515)
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研究分担者 |
持田 灯 東北大学, 工学研究科, 教授 (00183658)
藤山 真美子 お茶の水女子大学, 文理融合AI・データサイエンスセンター, 准教授 (40638425)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ドローン / 熱画像 / 3Dモデリング / 可視画像 / 長波放射量 / 表面温度 / 温熱環境設計 / 熱放射環境計測 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、機械学習とドローン技術を活用することで都市構成要素(建築物、樹木等)のモジュール化、これを用いた屋外空間の熱放射環境を実用上十分な精度で且つ高速に推定する技術を確立することを目的とし、まず、構成要素の類型化及びドローンによる長波放射特性の計測を実施する。なお計測は、様々な形態の建物・樹木を有する東北大学の片平・川内・青葉山キャンパスで実施する。 次に、類型毎に、計測した長波放射情報のデータセットで構成される『長波放射モジュール』を作成する。以上の知見を長波放射のRapid-estimation技術として集約し、ソフトウェア化するとともに、新たな熱環境設計プロセスとして整理・提案する。
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研究実績の概要 |
1.長波放射の高速推定のための基礎理論の拡張:昨年度までで、当初予定していた長波長放射推定のための基礎理論確立を完了させた。今年度はさらに、長波長放射の受熱点に対して複数の都市構成要素(建物や樹木)が半球上投影面上で重なる(ある要素からの長波長放射が、別の要素により遮蔽される、もしくは透過減衰が発生する)条件にも適用可能な理論の拡張を行った。 2.ドローンを用いた都市構成要素の長波放射特性の計測:昨年度に引き続き、宮城県仙台市東北大学構内で、夏季と秋季に10m高さの樹木及び2m高さの小型建築物を対象とし、可視画像と熱画像を同時撮影可能なデュアルカメラを搭載したドローンを用いて、表面温度の面分布情報を1時間間隔で取得した。長波長放射の方向特性の時間変化と、季節変化を分析した。 3.計測結果に基づく3Dモデル及び長波長放射モジュールの作成:昨年度整備した、撮影した可視画像と熱画像を用いた、樹木及び小規模建築物の可視画像3Dモデル(3次元点群モデル)と熱画像3Dモデル(三角メッシュで構成される3次元モデル)の作成手法に則り、それぞれ3Dモデルを作成した。さらに、小規模建物の3Dモデルを用いて、基礎理論に則るかたちで長波長放射モジュール(建物から各方向に発される長波長放射の放射強度をレーダーチャートにプロットした、長波長放射強度分布)を作成した。また、当該モジュールを用いて予測される長波長放射環境について、非定常熱収支解析の結果と比較することによる精度検証を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
前述の「1.長波放射の高速推定のための基礎理論の拡張」において、当初計画以上に研究が進んだため、当初予定されていなかった、長波長放射の受熱点に対して複数の都市構成要素(建物や樹木)が半球上投影面上で重なる(遮蔽や透過減衰が発生する)条件にも適用可能な理論の拡張を行った。この内容は日本建築学会技術報告集(全文査読付き)に投稿されており、掲載が決定している(2023年度6月公開予定)。
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今後の研究の推進方策 |
1.ドローンを用いた長波放射特性の計測:可視画像と熱画像を同時撮影可能なデュアルカメラを搭載したドローンを用いて、宮城県仙台市東北大学構内にある建物及び樹木を対象とする表面温度の面分布情報計測を行う。これにより、昨年度まで取得してきた情報の年による差異を評価することを通して、測定結果の一般性評価を行う。 2.長波長放射モジュールの作成:上記の測定データに基づく長波長放射モジュールを作成する。昨年度まで取得してきた情報に基づいて作成した長波長放射モジュールとの差異を確認し、ここから長波長放射モジュールの一般性におけるlimitationを評価する。 3.非定常熱収支解析の結果と比較することによる精度検証:非定常熱収支解析の結果との比較により、本手法の推定精度及び適用の限界を明確化する。 4.知見の集約及び新たな熱環境設計プロセスの構築:以上の成果は、11th International Conference on Urban Climate(オーストラリア)、日本建築学会年次大会(京都)等で発表され、国内外の研究者の意見を求める。その上で、長波放射のRapid-estimation技術として知見を集約するとともに、長波長放射環境予測プロセスを整備する。
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