研究課題/領域番号 |
21K18761
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (20447345)
|
研究分担者 |
荒木 笙子 東北大学, 工学研究科, 助教 (20897524)
大江 靖雄 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (60302535)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 都市農業 / コミュニティ / マルシェ / 近隣地区 / 生活圏 / 購買行動 / ローカルコモンズ / 農地 / COVID-19 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで都市空間はコンパクトシティ+ネットワークというやや大きなスケールで検討され、そのコアも駅などのハード施設を中心に検討されてきた。これに対し本研究は、それより小さな生活圏のスケールを1つのユニットとし、生活圏の集合体として都市空間を構想している。この基礎単位となる生活圏レベルの空間のコアとして、本研究では農空間を位置付ける。農空間は全国的に普遍的に存在しており、実際に都市農地や被災地などでは既に農空間がローカルコモンズとしての機能を果たしているケースも少なくない。本研究では、具体的事例を踏まえながら農のローカルコモンズの成立要件を実証的に明らかにする。
|
研究実績の概要 |
研究期間の中間年にあたる本年度は、引き続き新型コロナウィルス感染状況を踏まえながら、現地と十分に調整を行って国内及び海外での農のローカルコモンズの実態に関する調査・研究に取り組んだ。国内調査においては、前年度に引き続き東日本大震災の被災地において、土地利用が制限された災害危険区域などを中心に復興計画上は「見捨てられた土地」が農的機能を担うことにより、コミュニティの拠点に変化していく実態に関する調査に取り組んだ。特に居住が制限されており、かつ産業需要が低いエリアにおいては、農の果たす生産機能だけでなく、土地利用やコミュニティの紐帯の醸成、関係人口の形成という多面的な機能が地域の持続性の確保に重要な役割を果たしていることが把握できた。 海外の農のローカルコモンズの実態については、特徴的な都市農業の取り組みが見られるオランダ、フランス、イギリスの事例を中心に調査・分析を行なった。オランダでは都市農業の新しい形として移動可能な水上農場が設置されており、必ずしも農地がなくとも農的活動が展開可能であること、市街地に近い農場が新しい交流や教育の場として機能していることが把握できた。フランスではパリ市の政策である「15分都市」構想に着目し、生活に必要な全ての施設が徒歩15分圏内に配置されるという政策において、新鮮な食品にアクセスする手段となるマルシェが中心的役割を果たしており、その背景に行政によるきめ細かな支援があることを把握した。一方、イギリスでは食を中心としたコミュニテイの紐帯の再構築のために、大学等の研究機関が積極的かつ先導的に地産地消やコミュニティファーム活動を支援している実態を把握した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染症下での調査研究の推進について、これまでの経験を生かしながら、出来るだけ調査研究の進捗に影響を与えない形で進めることができた。特に今年度は国際的な動向を把握するための海外研究を実施できたことにより、着実に研究を推進することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
おおむね研究が順調に進んでいるため、今後についても予定通り進める。来年度は研究取りまとめの年になることから、個別の研究テーマの統合と包括的な観点からの考察に取り組む予定である。
|