研究課題/領域番号 |
21K18762
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福島 佳浩 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (60883105)
|
研究分担者 |
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20262123)
松本 直之 東北大学, 工学研究科, 助教 (30814389)
伊東 優 東京大学, 生産技術研究所, 特任研究員 (90839523)
山口 大翔 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (40983515)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 伝統木造建築物 / 構造補強 / 三次元計測技術 / 付加製造技術 / フォトグラメトリ / 3Dプリント / ジャイロイド構造 / モニタリング / AM技術 / 三次元計測 / 木造架構 / 建造物保存 / ジャイロイド / CFRP |
研究開始時の研究の概要 |
伝統的な木造建築物は、丸太材のように、必ずしも形状が整っていない(「不整斉な」)部材で構成されていることが多い。ストック型社会への移行に向けて、そのような建築物の構造補強に対する要求も増えているが、不整斉な部材からなる建築物に対して規格化された部材を用いて構造補強を行なうと、形状の齟齬が大きいために、様々な不具合が生じる。そこで本研究では、三次元計測技術とAM(付加製造)技術を用いて、意匠性・施工性・構造性能を高いレベルで実現できる構造補強設計手法の開発を目的とする。また、築129年の木造建築物を対象として、提案手法の実証実験を行なう。
|
研究実績の概要 |
補強対象建物の門形架構について、本研究課題で提案する補強方法の施工実験と構造実験を兼ねた実験を実施した。ワイヤロープを用いて同架構をブレース補強することを想定し、木架構にワイヤロープを取り付けるための接合部材を提案手法で製作し、補強効果を確認することを目的としている。 門形架構には曲がり梁同士が交差する部分があり、その入隅部にフィットする接合部材を製作した。接合部材が架構に接する側の形状は、フォトグラメトリ技術を用いて計測した三次元形状に対してブーリアン演算を行うことでを決定した。ワイヤロープを取り付ける側は円柱形状にレール状の溝を付けた形状とし、内部形状は初年度に実験を行ったジャイロイド構造で充填し、3Dプリント材料にはアルミ合金とCFRPの2種類を用いた。 試験体に接合部材を取り付けたところ、アルミ合金製・CFRP製とも過度な隙間や干渉が生じず、良好な施工性が得られていることが確認できた。また、水平加力試験を行った結果、アルミ合金補強・CFRP補強のいずれにおいても載荷初期のスリップ挙動がみられず、初期剛性・最大耐力とも上昇したことが確認できたことから、応力伝達の観点からも十分な精度でフィットしていることが検証できた。実験では接合部材が先行破壊することで母材の損傷が軽減できる結果が得られ、修復性や靭性に優れた既存建築物の構造補強方法として、接合部材をエネルギー吸収要素とすることの有効性を示した。 本研究課題では、不整斉形状を有する伝統木造建築物の構造補強を対象として、スキャニング・モデリング・マニュファクチャリングを統合した設計・施工手法を開発し、門形架構試験体を用いて施工性・構造性能を検証することができた。さらに、ジャイロイド構造を用いて補強部材の剛性・強度を制御することで、修復性や靭性に優れた既存建築物の構造補強が可能になることを示した。
|