研究課題/領域番号 |
21K18770
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池谷 直樹 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70628213)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 陽的解法 / 数値流体解析 / 屋外風環境 / キャピティー流れ / 実街区 / 陽的解放 / 建物周辺気流 |
研究開始時の研究の概要 |
建築を取り巻くあらゆる空間スケールにおける数値流体計算の計算負荷は大きい.その原因のひとつは,非圧縮性仮定によるポアソン方程式の反復計算にあるが, 現行では代数計算効率化,大規模並列化,または計算機性向上を主とするもので,非圧縮性流体の解析アルゴリズムそのものを革新するという発想は観られない.そこで,本課題では,計算格子間を移動する仮想粒子の概念を導入し,新しい方程式体系による陽的解析手法を提案する.屋内外空気流動の非定常流体シミュレーションの普及を最終目標として,繰り返し計算のない陽的解法を提案し,様々な建物周辺流れを対象とした陽的非定常シミュレーションの有用性を提示する.
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研究成果の概要 |
建物周辺流れに対して,研究および実務用途において数値流体力学解析が積極的に活用されてきたが,瞬間風速分布を推定する非定常解析は計算負荷が大きい.そこで,本課題では,反復計算を伴う陰的解法である現在の数値流体解析手法を抜本的に見直すことで,非定常シミュレーションを普及させるために, 陰的解法を代替する計算負荷の小さい陽的解法を提案する理論展開と様々な気流の条件を対象として陽的解法の有用性の確認を実施した.その結果,理論的な方法により仮想粒子を導入した擬似圧力に置き換えることで,陽的解法が可能であることを示した.さらに,複数の従来手法との比較により,提案手法が流れ場を適切に再現できることを示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
計算負荷軽減法には,代数計算効率や計算機性能の向上などの計算機科学的な方法が執られてきたが,本研究課題の遂行により,解析アルゴリズムを抜本的に改善することができた.これにより,長年適用されてきた非圧縮性流体の解析アルゴリズムを見直し,定常計算から非定常計算への転換のボトルネックを解決する足がかりを提供することができ,陽的解法の実用化に向けた大きなブレークスルーをもたらすことができたと考えられる.また,提案手法の数値流体力学的な解釈だけではなく,明確な理論展開を行ったことにより,当該分野だけではなく,流体力学の発展に貢献できる成果を残した.
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