研究課題/領域番号 |
21K18777
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
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研究機関 | 豊田工業大学 (2022) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
渡邉 保真 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60736461)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 極超音速 / 相変化 / 極超音速機 / 着氷 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、高速気流中での水の相変化現象を明らかにする事である。 それにより将来型高速・極超音速輸送機における着氷条件を特定し、着氷の影響を受けず安全に飛行可能な気流・湿度条件を解明することで、将来型航空機の安全性向上に資する。 具体的には、超音速・極超音速流れの圧力・温度・容積絶対湿度に対し、気流中に設置した模型に着氷が生成され、あるいは高速気流により着氷が融解・再凝固するときの気流・壁温条件の関係を実験により定量的に明らかする。同時に、気流中の水の相変化と着氷生成に対する解析・予測モデルの提案と検証を行う。
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研究実績の概要 |
令和4年度は主として極超音速気流中での水の相変化に対する基礎特性の実験的解明,および,航空機を模したダイヤ型模型表面周りでの着氷特性計測について実験計測及び数値解析モデルの構築を実施した.航空機表面における着氷現象と,それに伴う機体形状の変化は航空機の空気力学的特性低下に大いに影響し安全性に直結する問題である.本研究では将来型宇宙往還機や極超音速旅客機における機体表面での水の相変化と着氷に関する基礎研究を実施した.高速航空機の巡航速度域である極超音速流れにおいて,昨年度に引き続き航空機の簡易形状としてダイヤ型模型を製作し,その周囲に形成される衝撃波・膨張波を伴う温度・圧力の急激な変化を伴う流れ場において,水の相変化を計測調査した.東京大学柏極超音速高エンタルピー風洞において,マッハ数7.0,よどみ点温度約600Kの気流中に頂角20度のダイヤ型模型を設置し,その表面に投入した液体の水が高速流れ,特に衝撃波・膨張波と干渉しつつ下流側で着氷となる際の液滴分布及び氷結晶分布を散乱光計測およびシュリーレン法等の光学計測により測定した.本現象における気体・液体・個体の水の挙動を解明するため,気体の水についてはNavier-Stokes方程式に基づく空気と水の流れ場について解析を行い,液滴の挙動については粒子法を応用した挙動解析モデルをたて,液相と周囲の高速流(気相)が液滴への抗力を相互作用として連成したモデルにより解析を実施した.解析により得られた液滴分布は実験計測結果と定性的に良い一致を示し,極超音速流れと強く干渉しながら移流しつつ急激な温度変化を経ることが判明した.実験と解析を通し,極超音速流れでの着氷現象においては比較的狭い領域で急速な相変化と着氷の発生が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極超音速風洞実験による水の相変化と着氷現象について,光学計測による水挙動の解明が当初予定通り進んでいる.また,航空機を模した単純形状機体模型表面における液滴挙動のモデル構築とそれによる数値解析も進展しており実験結果と定性的に良い一致を示しているため,全体として概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
概ね当初計画通りに進展している. 令和5年度は,当初予定通り,極超音速気流内における着氷の融解,移流と,下流側での再凝固について,実験及び解析を通して現象の解明を進める.また,解析モデルの構築と実験での着氷条件調査を通し,極超音速機運用環境において,着氷現象が発生し得る条件の特定とそれによる気体表面流れ場への影響解析を行い,航空機安全運航上の問題となり得るかどうかの評価を行う予定である.
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