研究課題/領域番号 |
21K18786
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分25:社会システム工学、安全工学、防災工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
盛川 仁 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (60273463)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 水晶振動子センサ / ジャイロ / 加速度計 / 絶対方位計 / 真北 / 水晶振動子センサー / 温度制御 |
研究開始時の研究の概要 |
小さくても感度を犠牲にしないことが期待される水晶振動子を厳密な温度管理のもとで加速度センサおよびジャイロセンサとGPSを組み合わせることにより,極めて小型・軽量で高精度な位置・姿勢・絶対方位センサを実現するための技術開発をおこなう。これまでの研究成果に基づいて水晶振動子の温度特性に注目し,安定して高精度な出力を得られるよう,二重恒温槽による厳密な温度管理手法と新しい信号処理アルゴリズムを開発する。特に,絶対方位の測定にあたって小型センサと大型高性能センサの間を埋める「ほどよい精度」をもち,小型であまり高価ではないセンサを実現するための要素技術を確立する。
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研究実績の概要 |
第二年度までの検討により,恒温層は必ずしも必要ではないことが明らかとなった。そこで,恒温槽は製作しないこととし,部品調達の遅れにより製作に着手できていなかったジャイロセンサを載せて回転させるための回転テーブルを製作し,絶対方位計の試作機を完成させた。回転テーブルはパルスコントローラーによって一定速度で滑らかに回転させることができ,ターンテーブルが特定の位置にあるときにはターンテーブル内のフォトカプラから信号を出力することができ,精確な回転位置を同定できるものとした。理想的な環境で試作機の動作を検証するため,外乱ノイズがほとんどないトンネル内に基準線を設定して,基準線の真北からの方位角を高精度なジャイロスコープを用いて測量した。試作機を基準線方向に設置し,回転テーブルを異なる速さで回転させ,ジャイロスコープの出力を記録した。得られた記録から真北を決定するために,ジャイロセンサおよび加速度センサをそれぞれ水平軸について1成分づつ用いる場合と,それぞれ水平軸について2成分づつ用いる場合のアルゴリズムを構築し,得られた記録に適用した。2成分づつ用いるアルゴリズムが短い時間で正しい方位角を同定できることが明らかとなった。 試作機に用いたMEMSセンサの絶対精度を確認するために,高感度加速度センサおよび高感度角速度センサとMEMSセンサを地盤上に設置して自然地震の同時観測をおこなった。MEMSセンサは長周期成分の感度が十分に確保されていないこと,ノイズがほぼ正規分布に従うことがわかった。ノイズを含む模擬記録を数値シミュレーションによって生成し,記録にノイズを含む場合のアルゴリズムを再構築した。数値シミュレーションによって,試作機に用いたジャイロセンサによって方位角の推定値と真値の差が5度以内になる確率は90%以上であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した絶対方位計の試作機を完成させてデータ処理に必要なアルゴリズムを構築し,期待される測定結果を得られることが確認された。真北方向だけでなく,絶対方位計の姿勢そのものの姿勢も開発したアルゴリズムによって同時に得られるため,センサの姿勢を同定するという所期の目標は,移動体上での検証までは至らなかったものの概ね達成された。
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今後の研究の推進方策 |
所期の目標はおおよそ達成されたが,得られた成果が補助事業の第三年度中に論文として公表するに至らなかった。そのため,研究期間を1年延長して論文誌での成果の公表を目指す。投稿した論文の査読意見によっては,必要に応じて移動体上での検証を含む追加の検証実験を実施し,得られた成果が確実に公表されるようにする。
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