研究課題
挑戦的研究(萌芽)
静岡県北部「大谷崩(おおやくずれ)」を研究対象地とする。大谷崩では岩盤の風化により活発に土砂が生産されており,また毎年数回程度の頻度で土石流が流下することで,扇状地の森林植生が影響を受けている。UAV(ドローン)に搭載されたマルチスペクトルカメラおよび赤外線カメラにより,定期的に崩れ内部の様子を撮影し,分光反射特性に関わる指標を算出する。地形モデルや現地調査結果を検証データとし,分光反射特性を用いた1.岩盤からの風化による土砂生産の活発さの評価,2.渓流における土石流の流下頻度や経過年数の評価を試みる。そのうえで,分光反射特性を中山間地の防災システムへ活用する方法について検討する。
土砂移動の活発さや過去の土砂移動履歴と地表面の分光反射特性との関係性を明らかにするため,静岡県北部大谷崩を対象として,土石流の現地観測や過去の土石流発生履歴の整理,ドローンによる土石流渓流の撮影を行った。その結果,地表面の分光反射特性が土砂移動後の植生の回復に伴って変化すること,高解像度画像により土石流渓流の土砂の粒径を自動抽出可能であることなどを明らかにした。本研究を汎用的なものとするため,土砂移動特性や地質が異なる他の地域においてもドローンを用いた計測を行った。また空間情報学,地形学,リモートセンシング学など,様々な研究者とともに共同で現地調査を実施することで,学際的な研究をすすめた。
本研究により,地表面の分光反射特性が,土石流発生後の経過年数とともに変化することを示した。この研究成果は学際的な研究と,土石流の発生頻度が極めて高い流域で行った現地観測の結果得られたものであり,国際的にみても新規性が高い。この知見を用いれば,渓流の過去の土石流の発生履歴を1回のドローンを用いた調査により,推定することができるようになる。そのため,土砂災害への対策を立案するための調査への活用が期待される。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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