研究課題/領域番号 |
21K18799
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
大津 直史 北見工業大学, 工学部, 教授 (10400409)
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研究分担者 |
仲井 正昭 近畿大学, 理工学部, 教授 (20431603)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 金属表面窒化処理 / 空気中施工 / レーザー / アルミニウム材料 / 鉄鋼材料 |
研究開始時の研究の概要 |
金属材料は、窒素よりも酸素との反応性が高い。そのため酸素と窒素が混在する空気中では、選択的に窒化反応のみを進展させることは、原理的には困難である。我々は近年、集光パルス・レーザーを金属材料表面に照射すると、“空気中”であっても酸化物層は形成しない一方で窒化物層が形成する、という新奇現象を発見した。本研究では、この現象の機序解明を通じて、これまでの常識を打ち破る、空気中での金属材料表面窒化処理プロセスの構築とその産業応用可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、研究実施者らが発見した「レーザー照射による空気中での金属表面窒化現象」の機序解明を通じて、当該技術の産業への応用可能性を探ることを目的としている。この指針に沿い、令和5年度は、昨年度まで対象としてきたチタン材料以外、特に、鉄鋼材料とアルミニウム材料について、空気中窒化の可能性について検討した。 まず、アルミニウム材料の場合は、空気中でのレーザー窒化は困難であることがわかった。実際に形成した表面皮膜を観察すると、酸化物が主成分となっていた。この結果を受けて、次に、アルミニウム材料に果たしてレーザー処理で窒化皮膜の形成が可能であるかどうかをさらに検討した。雰囲気を、空気中から窒素雰囲気中に変更し、さらにガス圧を1気圧~3気圧まで変化させ、その中でレーザー処理をおこない、アルミニウム材料表面に形成した皮膜を詳細に分析した。その結果、窒素雰囲気中では窒化物皮膜の形成が確認され、さらにその膜厚は、窒素ガス圧の増大に伴い、大きくなっていることが確認できた。さらにこの処理により、表面硬さは最大で約5倍程度まで上昇した。 以上の結果より、アルミニウム材料に対しては、空気中での窒化は現時点では困難であるが、窒素雰囲気中では、窒化物皮膜を形成出来る事がわかった。 さらに、鉄鋼材料のうち、特にオーステナイト系ステンレス鋼についてレーザー窒化を試みた。ステンレス鋼表面には、酸化物層が形成するが、その直下に窒素侵入領域が空気中でも形成されることがわかった。この皮膜は固溶窒素を含むオーステナイト相であることがわかった。この皮膜の形成により、表面硬さは、最大で3倍程度まで上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の目的は「機序解明」と「応用可能性の探索」にある。 令和5年度の成果により機序解明だけでなく、応用可能性の探索も大きく進展した。然るに、これらの知見を基として、装置条件の最適化およびその条件下で形成した皮膜の検討は完了できていない。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は当初計画の最終年度であったが、1年間の期間延長を申請し、すでに了承を得ている。その上で、今後は、機序解明を通じて得た知見を基に、レーザー窒化装置の改良について論じ、必要であれば新規レーザー装置の導入もおこなう予定である。
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