研究課題/領域番号 |
21K18802
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
貝沼 亮介 東北大学, 工学研究科, 教授 (20202004)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | Cu-Al-Mn / 単結晶 / 巨大弾性歪 / 低弾性率 / 異常粒成長 / 巨大弾性歪現象 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、CuAlMn合金において、サイクル熱処理による異常粒成長現象を用いることで単結晶を製造する手法が開発された。また、その様にして得た単結晶では、特定方向において約4%もの巨大な弾性歪と著しく低い弾性率が確認された。そこで本研究では、Cu-Al-Mn合金単結晶を主な対象とし、その機械特性、結晶構造、材料組織を詳細に調査し、合わせて理論計算も用いることでその起源を明らかにする。また、その情報を元に同様な現象が見込まれ導電率の高い他の銅合金系を探索し、電子部材への応用を検討する。
|
研究成果の概要 |
Cu-Al-Mn単結晶に出現する巨大弾性歪について研究を行った。サイクル熱処理を用いた異常粒成長を利用して、<100>に近い方位を有する単結晶短冊状試料を作製し引張試験を行った。その結果、ヤング率の温度依存性は極めて小さく、良好な繰返し特性が得られることを確認した。また、その場中性子回折測定を行い、およそ4%歪まで母相が弾性変形しマルテンサイト相は出現しないことが判明した。加振法により得られた弾性率を用い、ヤング率の異常は主にC‘の値に関係することを解明し、この軟化現象は原子間ポテンシャルの非対称性に起因することが分かった。導電率の高いCu-Zn-Al系についても同様の現象を確認した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Cu-Al-Mn系合金の<100>方向の低ヤング率は、規則bcc相のC‘の値が小さい点、すなわち弾性異方性定数の大きいことに起因することが分かった。従って、他の合金系であっても弾性異方性定数の大きなbcc規則合金において同様の現象が生じると推測される。実際、弾性異方性が高いことが知られていたCu-Zn-Al系合金でも同様の現象が得られた。<100>方位の最大弾性歪を他の主な材料と比較すると、Alや鉄鋼材料では0.5%程度であるのに対し最大3%以上であり、特にCu-Zn-Al系は導電率が高いため、高弾性が求められるコネクターやバネを始めとした電子部品への応用が期待できる。
|