研究課題/領域番号 |
21K18803
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 吾郎 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (60451621)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 鉄鋼材料 / 表面硬化 / 析出強化 / 強化機構 / クラスター / 侵入型元素 / 元素間相互作用 / 高強度化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、侵入型溶質元素(i)と置換型溶質元素(s)からなるi-sクラスタの特異な強化能の起源を解明しクラスタ強化鋼創製の基盤を確立するため,(1)強化量のi-sクラスタ量およびサイズ依存性を明らかにし,(2)i-sクラスタの強化機構を解明することを目的とする.鉄合金ではクラスタ強化は有効な強化手段にはなりにくいという考えを覆し,i-sクラスタの強化機構を明らかにすることで,これまで置換型溶質クラスタに対して構築されてきた強化理論を大きく発展させるとともに,微量かつユビキタスなNにより発現することから省資源材料としても大きな波及効果が期待されるi-sクラスタ強化の指導原理を確立する.
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研究成果の概要 |
鉄鋼材料中で侵入型元素と置換型元素が局所的に濃化した溶質クラスタによる強化機構の解明を目的とし、窒化と水素焼鈍処理したFe-Ti合金の引張特性と微細組織を調査した。その結果、650℃以下の窒化材では一原子層のクラスターが支配的に生成し、高温ほどサイズが大きく、密度が高くなることが分かった。一方、窒化温度が700℃に上昇すると複数原子層厚さのTiNが生成し、密度は低下する。得られたクラスター・TiN分布からすべり面上の粒子間隔を評価して強化量を整理したところ、粒子抵抗力はOrowanモデルの予測を大きく下回ることから、Ti-Nクラスターはカッティング機構によって強化に寄与するものと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鉄鋼をはじめとする構造材料を高強度化することにより、自動車などの輸送機器に使われる材料を減らすことができるため、軽量化による燃費向上が実現できる。鉄鋼材料中にナノサイズの添加元素の濃化領域(クラスター)が形成されると、強度が著しく向上するがその機構は不明であった。本研究では、先端組織解析技術を駆使してクラスターが強度に及ぼす影響を調査し、変形を担う転位が高密度に生成するクラスターを切断しながら運動することで、転位運動が阻害されることが高強度化機構であることを明らかにしたものである。
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