研究課題/領域番号 |
21K18804
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
武藤 泉 東北大学, 工学研究科, 教授 (20400278)
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研究分担者 |
菅原 優 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40599057)
西本 昌史 東北大学, 工学研究科, 助教 (20880967)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 耐孔食性 / 腐食 / ステンレス鋼 / アルミニウム合金 / スマートアロイ / 耐食性 / マイクロ電気化学 / 腐食防食 / 耐食合金 / 非平衡組織 / Mo |
研究開始時の研究の概要 |
ステンレス鋼とAl合金に対し、防食元素であるMoやNなどを「固溶」ではなく「第二相化」した新しい省資源・高耐食合金「スマートアロイ」を開発する。MoやNは腐食により、イオンになり溶液の腐食性を低下させ、耐食性向上に寄与している。しかし、MoやNを均一に固溶させた場合、防食作用が現れる時には、合金は大きく侵食されている。このため、高耐食化には多量の合金元素の添加が不可欠である。耐海水鋼では6%のMoと0.2%のNが必須であるが、あまりにも高価である。このように、「固溶による高耐食化」は、工学的には限界に達している。本研究は、この壁を突破する新しい高耐食化原理導出への挑戦である。
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研究成果の概要 |
Type304Lステンレス鋼とAl合金(AA7075)に対し、防食元素であるMoとMnを「固溶」ではなく「第二相化」した新しい省資源・高耐食合金「スマートアロイ(Smart Alloys)」を開発した。Type304Lステンレス鋼に対しては、Mo濃化領域を第二相化することで、NaCl水溶液中において、Moを固溶したType316Lステンレス鋼よりも高い耐孔食性を示すことを見出した。Mo濃化領域を不溶性化した場合と可溶性化した場合に対し、高耐食化の原理を解明した。AA7075に対しては、Mn濃化領域を作製することで、乾湿繰り返し試験において耐食性が向上することを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Moは腐食部で、可溶性のイオンになり溶液の腐食性を低下させることで、耐食性向上に寄与していることは知られていた。しかし、Moを母相に均一に固溶させた際には、防食作用が現れる時には、すでに合金は大きく腐食している。このため、「高耐食化=高合金化」とされてきた。しかし、本研究は、Moを第二相に濃縮させることでも、防食効果が発揮することを見出した世界初の研究成果であり、今までの「固溶・高合金化による高耐食化」に対するパラダイム転換であり、耐食合金設計に大転換をもたらす可能性を秘めている。Al合金のMn濃化相に関しても、積層造形材など、粉末を出発材料とする工業製品の高耐食化への応用が期待される。
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