研究課題/領域番号 |
21K18813
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
藤岡 淳 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80609488)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | トポロジカル半金属 / 強相関電子系 / ゼーベック効果 / 遷移金属酸化物 / 熱起電力効果 / 光学伝導度 / ディラック半金属 / 熱電変換 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では傾斜ディラック半金属において、状態密度の特異性(ピーク)とディラック電子の特徴である高い電子移動度によって高いゼーベック係数、電気伝導度、出力因子が生じる事を実験的に示し、ディラック電子を活用した熱電物質設計の新しい指針を得る事を目的とする。傾斜ディラック半金属の候補物質であるNaPt3O4型Pd酸化物の多結晶試料を超高圧合成によって合成し、構成元素の置換によるキャリア密度制御、結晶構造制御を行う。電荷・熱輸送特性の精密評価、光学測定と第一原理計算による電子状態評価を行い、室温での高い熱電変換効率(出力因子)とその起源を理解することを目指す。
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研究成果の概要 |
酸化物トポロジカル半金属候補物質であるCa1-xLaxPd3O4の電荷輸送特性、電子状態、熱起電力効果の評価を行った。光学伝導度、光電子分光、第一原理計算の結果からCaPd3O4はギャップレス半金属ではなく0.1eV程度のギャップが開いた狭ギャップ半導体である可能性が高いことを明らかにした。電子ドープによって絶縁体金属クロスオーバーが生じ、x=0.03において熱起電力効果の電力因子が350Kで7μW/Kcm2に達することを見出した。比較的高い電力因子の起源の一つはPd4dx2-y2状態を主成分とする分散の大きな伝導バンドによって電子の移動度および伝導度が比較的高くなっていることが考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
半金属または狭ギャップ半導体は、高い電力因子を持つ典型的な熱電材料として知られているが、有毒元素を含んでいる系や室温以上では化学的に不安定な系も多いなどの問題点もあった。遷移金属酸化物の半金属または狭ギャップ半導体は、これらの問題を克服する可能性を秘めている物質群の一つである。p型の酸化物熱電物質はコバルト酸化物をはじめ多く見出されているがn型は比較的例が少ない。本研究は遷移金属酸化物のd軌道間に生じるギャップを利用することで狭ギャップ半導体を実現できるという新しい物質設計指針を与えるものと考えられる。
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