研究課題/領域番号 |
21K18838
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 広和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30545968)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | メタン / 酸化 / レニウム触媒 / 部分酸化 / 酸素 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
天然ガスの主成分であるメタンを化学品原料として効率的に利用できるようにするため、メタンを選択的に部分酸化し、メタノールを合成できる触媒の開発を目指す。そのための方策として、活性酸素種のみに着目するのではなく、メタンを選択的に活性化できる反応機構論を基にした触媒の設計を行う。メタンをはじめとするアルカンの部分酸化反応の多くは、資源の効率的な利用を目指す触媒化学の夢の反応とされており、本研究はこれに資するものである。
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研究実績の概要 |
ゼオライト担持レニウム触媒によるメタンの酸化反応を検討した。ゼオライトとして、MOR、ZSM-5、FER、Beta、Y、CHAを検討したところ、O2/メタン比0.16の比較的還元的な条件ではRe/FERを除きいずれの触媒も良好な選択性で一酸化炭素と水素を生成した。しかし、酸素分圧を高めるとRe/MORのみが高い活性を示した。各触媒のH2-昇温還元測定を行うと、Re/MORが最も低温で還元され、活性な低原子価種を保ちやすいことが示唆された。 一方で、Re/CHAを用いて酸素分圧が高い条件で反応を行うと、酸素が残存している条件にもかかわらず、一酸化炭素が収率6%、選択率80%で生成した。これは、部分酸化の進行を示唆している。水素収率が0.4%と低いため、恐らくフォルメート中間体を経て、それが分解することで一酸化炭素が生成するのではないかと考えている。 低原子価のレニウムを保持しやすいRe/MORを用いてメタンからのメタノール合成を試みた。メタンと水蒸気を流通させて反応を行ったところ、350℃の条件でメタノールが速度2.0 mol/mol-Re・hで生成した。本触媒はC-H結合を活性化する能力が高く、メタノールが安定して存在できる比較的低温でメタンのC-H結合を切断することができたのではないかと考えている。なお、化学平衡は逸脱していない。比較のため、合成ガスのメタノールへの変換に高い活性を示す銅を用いてCu/betaを調製し、同じ反応に用いたところ、メタノールの生成速度は0.3 mol/mol-Cu・hであった。レニウムの方が活性が高いことが分かった。 さらに、アダマンタンの酸化反応を実施した。その結果、ReOCl3(PPh3)2を触媒とし、過酸化水素を酸化剤に用いると、比較的良好な選択性で2級のC-H結合を酸化でき、フォトレジスト原料として重要な2-アダマンタノンが得られた。
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