研究課題/領域番号 |
21K18840
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | マイクロフルイディクス / 自立的送液制御 / 電気化学回路 / 毛細管現象 / バルブ / ポリジメチルシロキサン / 亜鉛 / 水素バブル / 溶液操作 / ポリピロール / 微小櫛型電極 / 双方向送液 / 金属接続 / ポンプ |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロフルイディクスは化学分析や細胞工学の効率化に有望な技術であるが、現状のデバイス内での溶液操作は外部装置に依存している。本研究では、電気化学的原理に基づくバルブ、ポンプ、および溶液間の金属接続等の要素技術を基礎として電気化学回路を構成し、自立的に逐次動作を行い、溶液を処理する機構を実現する。また、これを化学/バイオセンシングや人工生命体を目指したアクチュエータの駆動に応用する。
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研究実績の概要 |
本研究では、マイクロシリンジポンプ等の外部機器に依存せず、チップ上に集積化された電気化学素子のみで、化学分析等で必要な微量溶液の高度な操作を自立的に行うデバイスの実現を目指している。本研究で用いるデバイスは、送液制御に必要な電極を形成した親水性のガラス基板と、微小流路・容器を形成した疎水性のポリジメチルシロキサン(PDMS)基板および電極反応を進行させる電極から構成される。前年度までの研究で、溶液の注入、混合、送液等を行う幾つかの要素回路の動作を確認した。 これらの要素回路を用いると、より複雑な機能を有する自立的マイクロフルイディクデバイスを実現できる。その一例として、22年度は電気化学回路で構成される自立的双方向送液ユニットの作製、評価を進めた。ここでは白金黒微小櫛型電極上での水素バブルの生成・消滅を、順次それぞれ亜鉛の酸化、銀イオンの還元と同時に進行させ、双方向送液を行う。これまでの研究では、流路内の溶液を可視化するために色素を用いていたが、電極反応を起こす場合に色素が電極反応を起こし、本来起こすべき反応の進行に影響を及ぼしていることが強く疑われた。そこで、色素分子を直接溶液に溶かしたものでなく、色素を内部に固定したマイクロビーズを用いるようにしたところ、この問題が解決され、亜鉛の酸化、銀イオンの還元に伴う水素バブルの生成・消滅、および微小流路中での溶液の往復運動を問題なく起こすことができるようになった。また、一連の反応を効率良く進行させる上で、電極材料・形状、反応チャンバー形状、使用する溶液濃度等の細部で問題が見いだされたため、これらについて改良を行った。 また、ガラスとPDMSで構成される微小流路内の親水性が弱く、毛細管現象による送液に時間を要する点が課題として浮上した。このため、高分子や水ガラスによる内面のコーティングを行い、その効果を調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね研究計画の予定通りに着々と進展している。
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今後の研究の推進方策 |
自立的双方向送液ユニットについては、その動作の確実性を増すための改良検討を進めた後、複数のユニットを集積化したデバイス上での遂次自立的動作を実現する。また、これを接続した圧力駆動型アクチュエータの自立的動作の確認も試みる。 本研究課題では、電気化学回路を形成するための基本回路群を提案したが、実験で動作を実証していないものがあった。最終的に研究をまとめる上で必要になるため、これらについても動作確認を進める。また、上記の自立的双方向送液ユニット以外にもこれらを組み合わせた複合型電気化学回路による自立的溶液処理機能を有するマイクロフルイディクデバイスを作製し、電気化学回路という新しいコンセプトの有用性を例証する。
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