研究課題/領域番号 |
21K18844
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮地 輝光 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (40452023)
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研究分担者 |
福井 浩二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80399807)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 抗酸化活性 / トリペプチド / 量子化学計算 / 疾患予防効果 / 抗酸化トリペプチド / アルツハイマー病予防 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アルツハイマー病(AD)予防の酸化ストレス仮説に基づき、量子化学計算による合理的なAD予防抗酸化トリペプチドの分子設計のための研究基盤を確立することを目的とする。種々トリペプチドについて、量子化学計算により電子状態情報、電子スピン共鳴-スピントラップ法により生体内活性酸素種に対する抗酸化活性、ADモデルマウス実験によりAD予防効果を明らかにし、抗酸化活性およびAD予防効果に寄与するトリペプチドの電子状態情報を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、量子化学計算により求めたトリペプチドの電子状態情報から、トリペプチドの生体内活性酸素種に対する抗酸化活性、およびアルツハイマー病といった疾患予防に寄与する電子状態情報を明らかにすることをめざした。そのため本研究計画では、種々トリペプチドについて、抗酸化活性測定、量子化学計算による電子状態報解析、マウスを用いた疾患予防効果の分析を実施した。 これまで、量子化学計算によりトリペプチドの種々電子状態(たとえばHOMOのエネルギー準位やイオン化ポテンシャル)を明らかにした。さらに、トリペプチドのヒドロキシラジカルに対する抗酸化活性測定を行い、それら活性値と量子化学計算による種々電子状態との相関性を解析した結果、トリペプチドのHOMOのエネルギー準位およびイオン化ポテンシャルと抗酸化活性との間に高い相関性を見いだした。以上の研究成果から、量子化学計算によりもとまるHOMOのエネルギー準位およびイオン化ポテンシャルは、トリペプチドの抗酸化活性を予測する電子状態情報および分子構造特性として適切である可能性が高まった。 そこで2023年度は、量子化学計算情報に基づいた抗酸化活性予測の妥当性を検証するため、抗酸化活性―電子状態相関性に基づき種々トリペプチドの抗酸化活性を予測し、抗酸化活性の実測値と比較した。この結果、予測どおりの抗酸化活性をトリペプチドが示すことを確認し、量子化学計算情報のトリペプチド抗酸化活性予測への有効性を明らかにした。さらに、抗酸化活性―電子状態相関性から抗酸化活性が高く認知機能の向上に効果を示すと予測されたトリペプチドについてマウス実験をおこない、認知機能向上効果を調べた。その結果、予測通りにマウス認知機能の向上が確認された。この結果は、量子化学計算情報に基づいて認知機能向上効果のあるトリペプチドを予測できる可能性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の純水製造装置の故障により2022年度に予定していた抗酸化活性測定やマウス実験準備が進まず進捗状況は遅れていた。2023年度は順調に実験が進み、当初研究計画で予定した研究成果は得られた。ただし、2023年度マウス実験の結果から、認知機能向上予測精度の向上にトリペプチド抗酸化活性の追加情報が必要なことがわかり、本研究目的達成に必要な研究進捗としてはやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施したマウス実験の結果から、認知機能向上予測精度の向上にトリペプチド抗酸化活性の追加情報が必要なことがわかった。この追加情報を得るため、スーパーオキシドアニオンに対するトリペプチドの抗酸化活性を測定し、量子化学計算に基づいた認知機能向上に効果を示すトリペプチド予測の精度向上を推進する。
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