研究課題/領域番号 |
21K18874
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
池田 勝佳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50321899)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | グラフェン / プラズモン共鳴 / 表面増強効果 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノスケールの極小空間にて光を自在に操るナノフォトニクス分野において、赤外やテラヘルツ帯域が未踏領域として残されている。これは、ナノフォトニクスで利用している表面プラズモンの性質に由来する本質的な課題であり、金属ナノ構造を使う既存技術では解決が難しい。本研究では、2次元電子系であるグラフェンの表面プラズモンが、表裏2面が厚さゼロで強結合した特異なモードであることに着目し、赤外・テラヘルツ帯域で巨大な波長圧縮効果を発現する可能性について検証を行う。グラフェンへのドーピングとナノホールアレイ構造作成による共鳴波長の制御技術を確立し、可視から赤外・テラヘルツ領域にまたがるナノ集光技術を実現する。
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研究成果の概要 |
光学機能性を有する電極として2次元電子系材料であるグラフェンを用い、カーボン系電極における表面増強分光計測を広いエネルギー帯域で実現することを試みた。グラフェンナノ構造化による赤外領域でのプラズモン共鳴制御には成功しなかったが、可視光励起のラマン散乱における異常な信号増強現象を見出し、グラフェンの欠陥がこの現象に関与していることを突き止めた。また、グラフェンの2次元性を利用する新たな電極構造を考案し、水素発生反応をモデルに実験検証を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、挑戦的研究課題らしく、研究の過程で予想を超えた成果を得ることが出来た。高感度な界面分光法としてこれまで用いられてきた表面増強ラマン散乱は、金属ナノ構造のプラズモン共鳴を利用しているため、耐久性が低いという実用面の問題があった。今回見出した表面増強効果は、グラフェンとAu基板界面で起こっていると考えられ、長期安定性を持つ現象であることが実験的に確認された。本成果はこれまで知られていない現象であると考えられ、基礎学術的にもその機構解明は興味が持たれ、実用的にも従来技術の課題を解決する新分光技術への展開が期待される。
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