研究課題/領域番号 |
21K18884
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
岡本 裕巳 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 教授 (20185482)
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研究分担者 |
AHN HyoYong 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 新分野創成センター, 特任助教 (70844348)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | キラリティ / プラズモン / 円偏光 / 不斉誘起 |
研究開始時の研究の概要 |
自身とその鏡像が重ならない構造を持つことをキラルという。光にも,キラルな時空間構造を持つ左回り円偏光と右回り円偏光がある。通常,円偏光と分子の相互作用が分子のキラルな特性に影響を及ぼす効果や,左右円偏光を分子に照射することで分子のキラルな構造を誘起する効果は,非常に小さい。一方,金属ナノ構造物質では円偏光によるキラルな特性が強く現れる可能性がある。本研究では,キラルでない分子と金属ナノ微粒子からなる系に,円偏光を照射しながらナノ構造物質を生成することで,円偏光の左回り・右回りに応じて,生成するナノ構造が右手系・左手系を優勢に発生させることができるか,その可能性を理論的・実験的に追究する。
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研究成果の概要 |
自身と鏡像が重ならない構造を持つ特性,キラリティは,その「物」の性質にしばしば深く関わる。左右のいずれかの掌性のもののみを生成することが,広い科学・技術分野で重要な課題となっている。本研究では,キラルでないプラズモン物質と円偏光を用いた光化学反応を用いて,キラル物質を創出することを目的とした実験を行った。その結果,ある条件下で,特徴的なキラルナノ構造が生成することが見いだされ,その掌性は,照射する円偏光の掌性により制御された。モデル系に対して電磁気学シミュレーションを行ったところ,プラズモン物質周辺に渦状の光強度分布が発生することがわかり,それがキラル構造生成の要因になったと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
キラリティは,素粒子から分子・ナノ物質,生命,宇宙に至るあらゆる「物」の階層で,その「物」の性質にしばしば深く関わる。生命体をつくる分子の殆どがキラルで,右手系か左手系のうち,片方の掌性のもののみでできており(ホモキラリティー),その理由は未解明な学術的問題として多くの研究者の興味を引いていると同時に,医学応用においても重要な課題である。本研究は,円偏光と相互作用するプラズモンの特性を用いて,右手系か左手系の片方のみを作り出す新たな手法を開拓しようとする,学術的意義を有するとともに,その発展は材料開発や医療などにも波及しうる社会的意義がある。
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