研究課題/領域番号 |
21K18887
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
平永 良臣 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (70436161)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | プローブ顕微鏡 / 電気化学歪み顕微鏡 / イオン伝導体 / マイクロ波 / 結晶欠陥 / 走査型プローブ顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,マイクロ波エンハンス電気化学歪み顕微鏡法(マイクロ波エンハンスESM)という,新たなプローブ顕微鏡手法を開発し,それを用いた電池関連材料(正極材・負極材・固体電解質)をはじめとする各種イオン伝導体に対する微視的評価手法の確立を目指す.さらに,室温では非常に低いイオン導電率しか示さないような材料への適用までを視野に入れ,これによる不純物イオンやその他の結晶欠陥の局所的な電界応答を可視化できる手法へと本手法を発展させる.そして,これを通じた各種デバイスの劣化メカニズムの微視的解析手法の開発,並びに欠陥を積極的に利用した新原理に基づくデバイスの創出に資することを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,局所イオン導電率のイメージングにおけるマイクロ波エンハンス効果を利用した,新たなナノスケール物性評価手法を開発するものである.具体的には,1.電池用材料(正極材・負極材・固体電解質)に対するマイクロ波エンハンスESM評価,2.電池用材料以外のイオン伝導体材料に対するマイクロ波エンハンスESM評価,3.上記以外の不純物や結晶欠陥を含む材料(低イオン導電率材料)に対するマイクロ波エンハンスESM評価,4.マイクロ波によりESM信号がエンハンスされるメカニズムの解明に関する研究を今後行い,これを通じて本手法を用いた各種デバイスの劣化メカニズムの微視的解析手法の開発,あるいは逆に欠陥を積極的に利用した新原理に基づくデバイスの創出に繋げるといった応用展開を目指すものである.2022年度は前年度に立ち上げた計測装置を用いて当該研究に関連する基礎的データの収集を行った.具体的にはタンタル酸リチウム(LiTaO3)単結晶におけるマイクロ波エンハンス効果について,周波数依存性を調査した.その結果,信号の増大の程度は印加電界周波数にも依存しており,より高い周波数において増大の度合いが大きいことを明らかにした.さらにこれに加え,派生的な研究成果として,プローブ顕微鏡観察によって得られるデータセットに対する機械学習的解析手法についても開発を行った.具体的には局所C-Vマッピング法と呼ぶ,マイクロ波エンハンスESMとは異なるプローブ顕微鏡法によって得られたデータセットを解析の対象としたが,同様のアプローチはマイクロ波エンハンスESMに対しても適用可能であることが見込まれる.さらに,将来的には,マイクロ波エンハンスESMと局所C-Vマッピング法を統合したマルチモーダル計測システムに発展させることも可能である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は前年度に立ち上げた計測装置を用いて,いくつかの計測サンプルに対し計測を継続して行った.その結果,印加電界周波数などの,新たなデータを取得することができた.しかしながら一方で, LLTOやLiTaO3以外のサンプルまで計測対象を広げることにはやや難航しており,十分に多岐にわたる材料系についての計測を行うには至っていない.また,マイクロ波電界を印加することによってどのようなメカニズムでESM信号が増大するかについては引き続き考察・検証が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は当初の研究計画に基づき,どのような材料においてマイクロ波によるエンハンス効果が顕著に観察されるかを,様々な計測サンプルに対して調べる予定である.あわせて周波数掃引やマイクロ波強度依存性などの基礎データの蓄積を継続し,マイクロ波によりESM信号がエンハンスされるメカニズムの解明を目指す.
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