研究課題/領域番号 |
21K18925
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮坂 等 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50332937)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | ホスト-ゲスト相互作用 / 電荷移動型錯体格子 / 磁気変換 / 多孔性材料 / ヨウ素 / 酸化還元 / ホストーゲスト相互作用 / ホストーゲスト間相互作用 / 多孔性分子格子 / ゲスト応答 / ホストーゲスト間電子移動 / 格子物性制御 / 生体系擬似反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本挑戦的研究では、酸化還元活性なゲスト分子に対してホストーゲスト間電子移動を起こす多孔性分子格子を創製することを目的とする。 生体系の高度なシステムに倣い、“物質認識→物質輸送(拡散)→活性点配置→反応(酸化還元反応)→格子物性変化(信号発信)”からなる一連の物質情報伝達システム(化学―物理情報変換システム)を“多孔性分子材料”に擬似し、物質情報伝達過程の“反応”において、ホストーゲスト間電子移動を組み込むことにより、ホストーゲスト間電子移動により格子物性をスイッチする分子格子系を開発し、その局所的電子移動と物性制御の相関を解明する。
|
研究成果の概要 |
「特定のゲストに対して電気的・磁気的信号を発信するゲスト応答型多孔性分子材料」の開発を目的として、ホスト-ゲスト間電子移動を起こす多孔性分子格子を創製することを目指した。水車型のルテニウム二核(II,II)錯体(電子ドナー;D)とTCNQ誘導体(電子アクセプター;A)の反応により、一電子移動型D2A型層状MOF(ゲストフリー体はTN = 84 Kの反強磁性体)を開発した。ヨウ素を反応させることにより、常磁性体に変換する磁気相変換を見出した。本系は、加熱脱気することにより元のゲストフリー体に戻る(磁気相スイッチング)。これは、ホスト-ゲスト間電子移動により磁気相変換を実現した初めての例である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「多孔性磁石」は、従来からよく知られた電場・磁場・光・圧力などの物理的な刺激とは異なり、「分子吸脱着」という化学的な刺激により駆動する材料である。化学物質の性質を磁化という物理量に換える、「化学―物理変換」を可能にする材料と言い換えることもできる。本研究における、吸着分子とホスト骨格の間での直接的な電子授受により駆動する可逆磁気相変換は世界初観測であり、新たな駆動原理により「化学物質による物性制御」を実現したという点で、高機能分子デバイスの実現へ向けて、基礎・応用の両面から大変意義深い結果だと考えられる。
|