研究課題/領域番号 |
21K18926
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 正彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80241579)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
|
キーワード | 分子軌道イメージング / 運動量空間分子分光 / 配向分子 / 電子運動量分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、多原子分子一般を対象にして分子軌道一つ一つの空間的形状を運動量空間で三次元観測する手法を開発し、運動量空間分子分光を飛躍的に深化・展開することである。この目的を達成するため、研究代表者が現有する、世界で唯一の時間分解電子運動量分光装置にレーザー分子配向技術を導入して、分子軌道の三次元観測装置として整備する。分子軌道は今や物質科学から生命科学に亘る自然科学の広範な分野で基盤的概念であること、また種々の近似を用いる理論計算を通じてのみしか波動関数形を窺い知ることのできない現状を考え合わせると、本研究の波及効果は現段階では予測できないほど大きい。
|
研究成果の概要 |
レーザーパルス電場により生成する回転波束の詳細な検討を行い、申請当時と比較して信号強度を3桁向上させ、かつvelocity mismatch問題をも克服する優れた実験原理を見出した。そして、時間分解電子運動量分光装置の改造を行い、従来の空間平均した実験を通して、満足すべき性能を有することを確認した。さらに、2022年3月の福島県沖地震により稼働不可となった現有レーザーの代替品が納入された2023年9月以降、分子軌道形状観測実験を開始し、より高い解像度を得るために各種実験パラメータの最適値を検討している。以上のように、本研究が目的とする「分子軌道の三次元観測法の開発」に成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、多原子分子一般を対象として分子軌道を三次元的に見るという化学者全体の夢の一つを実現できる。これは、分子軌道は今や物質科学から生命科学に亘る自然科学の広範な分野で基盤の一つであること、また種々の近似を用いる理論計算を通じてのみしか波動関数形を窺い知ることのできない現状を考え合わせると、その波及効果は現段階では予測できないほど大きい。さらに、波動関数形に関する実験と理論の比較は、分子軌道理論の発展を促すに止まらず、化学結合や化学反応に対する理解にまで質的変化をもたらす可能性を持つ。
|