研究課題/領域番号 |
21K18935
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 洋 神戸大学, 理学研究科, 教授 (20213803)
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研究分担者 |
手老 龍吾 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40390679)
松本 拓也 神戸大学, 工学研究科, 講師 (70758078)
天野 健一 名城大学, 農学部, 准教授 (30634191)
平山 朋子 京都大学, 工学研究科, 教授 (00340505)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 分子運動 / トライボロジー / エネルギー散逸 / 液体 / 統計力学 / 蛍光顕微鏡 / 油性添加剤 / 表面界面 / 単一分子 / その場観察 / スピロビフルオレン / オペランド計測 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では固体に挟まれた潤滑油分子の並進運動を計測する。現在世界中で使われている潤滑油は、蒸気圧の低い炭化水素液体(ポリオレフィンなど)に微量(0.01-0.1%)の極性化合物(長鎖脂肪酸など)を溶解した溶液である。炭化水素液体(機械工学では基油とよぶ)に極性化合物(同じく添加剤)を加えると格段に滑りが良くなる経験則にもとづいて実用潤滑油が製造販売されている。にもかかわらず、添加剤が滑りを良くするしくみは明らかでない。添加剤を加えても潤滑油の粘度は変化しないにもかかわらず滑りが良くなるのはなぜか? 高校生が抱いても不思議のない問い分子科学の視点から答えることが研究の目的である。
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研究成果の概要 |
脂質二重膜の研究で開発された単一蛍光分子追跡法を、潤滑油界面の解析に転用した。脂質二重膜の計測では、二重膜に取り込ませた蛍光分子の膜内拡散を光学顕微鏡で追跡する。蛍光分子の数密度を低くすることによって、個々の蛍光分子像を分離識別し、蛍光分子個々の並進運動を時間分解能30 msの動画像として記録することが広く行われてきた。本研究では、潤滑油-ガラス界面に吸着した添加剤層に取り込ませた単一蛍光分子の個数変化と並進運動を蛍光顕微鏡で動画像計測した。蛍光分子のガラス表面への吸着脱離と焼尽による個数変化を記述する数理モデルを構築するとともに、焼尽耐性をもつスピロビフルオレン系蛍光分子を有機化学合成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自然がつくりだす不思議は、生物に代表される天然物だけでなく、潤滑油のような人造物にも等しく宿っている。人造物に宿る不思議を追い求めることによって新しいサイエンスを発見することが、本研究の根底をなすコンセプトである。生体物質である脂質二重膜の解析法として発展してきた単一蛍光分子追跡を、潤滑油界面の研究に技術移転することで、天然物研究と人造物研究を隔ててきた垣根を低くすることができる。従来研究が築いた垣根を意識することなく、利用できる技術や材料はなんでも使うことによって、液体-固体界面に宿る新しいサイエンスの発見と、よりよい潤滑油の開発という二兎を追うことが可能になる。
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