研究課題/領域番号 |
21K18969
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
北川 裕一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (90740093)
|
研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
|
キーワード | トリボルミネッセンス / ユウロピウム / ガドリニウム / 多環芳香族化合物 / β-ジケトナト / 蓄光 / ルテチウム / 長距離エネルギー移動 / 混晶 / 蓄光体 / 希土類錯体 / メカノケミストリー |
研究開始時の研究の概要 |
トリボルミネッセンスとは機械的刺激により結晶が発光する現象である。本現象が発見されたのは約400年前であり、これまでに様々なトリボルミネッセンスを示す有機化合物・無機化合物が報告されてきた。本現象は高エネルギー励起源を用いず力学的刺激で発光エネルギーを獲得することができるため材料化学の観点から注目を集めている。申請者は希土類錯体のトリボルミネッセンスに着目して研究をしており、近年「力学的な刺激で効率的に発光する錯体設計」を明らかにしている。本研究では、その錯体設計の中に蓄光分子を組み込むことにより、力学的な力を加えることで発光し続ける蓄光性錯体を開発する。
|
研究成果の概要 |
トリボルミネッセンスとは摩擦刺激により物質が発光する現象である。本研究では摩擦刺激により蓄光を示す希土類錯体の創成を目的とした。 (1)摩擦刺激による配位子蓄光:多環芳香族骨格を導入した二座ホスフィンオキシド配位子とβ-ジケトナト配位子から構成される二核ガドリニウム錯体を合成した。このガドリニウム錯体は低温条件において摩擦励起により青色の蓄光を示すことが明らかとなった。 (2)摩擦刺激による希土類蓄光:(1)のガドリニウム錯体結晶中に赤色発光性ユウロピウムをドープした混晶を合成した。この混晶は低温条件において摩擦励起により青色と赤色発光帯に基づく蓄光機能を示すことが明らかとなった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は発光性錯体という学術研究を基盤としており、従来にない(1)希土類錯体内の有機配位子に蓄光機能を付与、(2)希土類錯体混晶中における長距離エネルギー移動に基づく蓄光機能の伝搬に成功している。 この高度に設計された希土類錯体は摩擦刺激で物質に光エネルギーを蓄積でき、有機機能材料の可能性を切り開くことができる。また、摩擦励起に基づく長距離エネルギー移動を示した初めての例となる。よって、本研究はこれまでの発光性錯体に関する研究とは大きく異なり、学術的意義のある研究と位置付けることができる。また、光源を必要としない発光現象の深化は材料化学分野においても意義深い研究である。
|