研究課題/領域番号 |
21K18971
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井口 弘章 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30709100)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | δ-π共役 / 金属錯体 / 多孔性 / 分子性導体 / 二次元電子系 / 有機ラジカル / δ-π共役 |
研究開始時の研究の概要 |
固体中の電子の広がりが面内に制限される二次元電子系は、興味深い電子状態や物性の宝庫である。本研究では、二核金属錯体に大きなπ共役平面を有する配位子を導入することで、δ-π共役系が分子全体に広がった非平面型金属錯体を合成する。この金属錯体の配位子中に不対電子を生じさせ、結合性π-π相互作用によって二次元的に集積することで、分子吸脱着が可能なナノ細孔と高い結晶性を併せ持つ「二次元電子系多孔性分子導体(2D-PMC)」を開発する。得られた2D-PMCのナノ細孔への分子吸脱着を利用して、電子状態や物性の精密制御を行う。
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研究成果の概要 |
水車型構造をもつ銅及びルテニウム二核金属錯体に、大きなπ共役平面を有する配位子としてピレンカルボン酸を導入した。様々な溶媒から結晶化することで、分子間でピレン部位が重なったπ積層構造をもつ錯体からCH-π相互作用が優先してπ積層構造を持たない錯体まで、分子間相互作用の異なる結晶を作り分けることに成功した。電気伝導率を測定したところ、ピレン部位同士にπ積層相互作用をもつ錯体の電気伝導率はCH-π相互作用をもつ錯体よりも1桁高いことが明らかとなった。部分的な酸化によってδ軌道に空きができ、δ-π共役による電気伝導が誘起された可能性があり、今後の研究の展開が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
二次元電子系物質は多様かつ特異な電子状態を有することから様々な物質開発が行われてきた。本研究は、δ-π共役で十字型の分子全体に分子軌道が広がることに着目し、実際に二核錯体を合成することで、δ-π共役が広がる条件をある程度見出すことができた。今後、この分子をブロックのように並べることで二次元電子系を構築すると同時に、ナノサイズの細孔が構築されることが期待され、分子吸脱着による電子状態制御が期待される。また、この物質ではナノ細孔の内側にπ共役平面が向くため、既存の物質系には無い新しい物性や吸着分子との相互作用が期待され、新しい有機エレクトロニクス素子への展開も期待できる。
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