研究課題/領域番号 |
21K18983
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分34:無機・錯体化学、分析化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
財津 慎一 九州大学, 工学研究院, 准教授 (60423521)
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研究期間 (年度) |
2021-07-09 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | ラマン分光法 / 共振器増強法 / ラマン散乱 / 気体分析 / 光共振器 / フィードバック制御 / ガス分析 / 誘導ラマン散乱 / インパルシブラマン散乱 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究で、「見えないものを見えるようにする」という科学の基本命題に挑戦する。すなわち、多種の分子種が混在する気相試料において、極微量存在する特定の分子種を、選択的にかつ迅速に(リアルタイムで)、高い感度で検出(見えるように)する極限的な微量分子分析法に挑戦する。極微量ガス分析の分野で、検出感度におけるこれまでの常識を覆すパラダイムシフトを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、極微量存在する特定の分子種を、選択的にかつ迅速に高い感度で検出する極限的な微量分子分析法の開発に取り組んだ。その結果、共振器増強自発ラマン分光法において、ラマン光発生効率が増強する条件を初めて見出した。これは発生したラマン光が、共振器の縦モードに一致し、共振器増強効果を受けるときに発現する。この効果に関連するいくつかのパラメータ依存性を実験的に調査し、ラマン光発生効率増強の機構を明らかにした。ラマン光発生効率は、ラマンゲインによって決まり、ラマンゲイン幅は増強率の増大には関与しないと結論づけた。この発見は、ラマン散乱分光法に基づいた分子検出法の更なる高感度化に寄与すると期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究を通じて、吸収分光法を超える世界最高感度を備えたラマン分光法に基づく気体分子分析法の実現に挑戦した。本研究で発見した新しい原理により、気相混合系において、極微量(ppbレベル)分子を検出可能とする新しい分析法への道筋が得られた。これは、極微量ガス分析の分野にパラダイムシフトを引き起こすと共に、ラマン散乱を分子運動の励起方法から再発明し、100年近い歴史を有するラマン分光法に新たな風を送り込むものである。この成果は、「見えないものを見えるようにする」という科学技術の基本命題において、新しい科学技術イノベーション(社会的価値)に資するであろう。
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